文档:久石让官网日志/2001年4月

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2001/04:APR
2001年04月
2001/04/28/Sat.
久しぶりの写真撮影。CDやツアーパンフレット、媒体に出すアーティスト写真は1年近く更新していなかったハズ。作曲家としての活動だけでなく、映画監督としても注目される今年は少し趣向を変えたフォルムを打ち出したいところ。今まではゆとりのあるフォーマルスーツかカジュアルジャケットがメインだったのだが、今年はシャープでスリムなジャケットが選ばれる。試着した時には「少しキツイかしら」と心配したけど、「着心地は抜群!」とのこと。写真になったらどこまで写るのか疑問だけど、ナマで見ると随分シャープなシルエットを描いているのだよ、これが。1時間近くに及ぶ写真撮影、何が大変かと言ったらフラッシュの光である。「ハイ!目を閉じないで下さい!!」と言われても、顔面の30cm手前でバシバシ撮られてはそういうわけにもいかない。久石さんが目をパチクリさせている横で、「モデルってのは大変だな~」とのん気に感慨にふける小生。またしてもマネージャーとしての資質を疑われそうだ・・・アーティスト写真が撮り終わると次の撮影は・・・ジャケット写真である!何のアルバム用かって?それはもうしばらく秘密です。制作進行上、言いたくても言えない事情ってのがあるんですよ。驚くなかれ、ジャケット写真に参加して下さったのは北野武監督御本人!!二人で白バックの黒ジャケットとくれば、気分はもう「BROTHER」って感じでしょ。監督のスケジュールもあって長くは撮影出来なかったけど、素晴らしい写真が撮れるわ撮れるわ!キャメラマンの方も「クリエイティブな人を撮るのはホント楽しいんです」と感激の様子である。無事撮影が終わった後、スケジュールが押しているにもかかわらず久石さんとの談笑を楽しむ北野監督。こうやってゆっくり話すことってナカナカ出来ないので、久石さんも大喜びでした。本日撮影したジャケット写真。近いうちに皆さんも御覧になれること、小生が御約束いたしますぞ!!
ライト・スタッフⅡ
2001/04/27/Fri.
昨日創った曲をリアレンジ。1日時間をたてると発想も新たなものが出るものだ。「昨日は無調のサウンドが強すぎたから少し怖いイメージになったでしょ?明るい雰囲気を出すためには調性を考えなきゃね」と手を加えていく。作業中、シンセから出る音のピッチが定まらないといったハプニングが起きるものの、リアレンジは無事に終了する。レコーディング中に原因不明のハプニングが起きるのは毎度のこととはいえ、今回のスケジュールを考えると背筋が寒くなるスタッフ達。久石さんの帰宅後、レコーディングを円滑に進めるためのメンテナンスが夜遅くまで行われる。
ライト・スタッフⅡ
2001/04/26/Thu.
苦しい1日。主人公がとんでもないお客さんをお迎えするというシーンなのだが、このお客さんというのがクワセモノである。「ドロ・・・ベチャ・・・」という効果音がお似合いで、映像を見ているだけで臭ってきそうなキャラクター。「う~ん、こりゃマイッタね」とさすがの久石さんも眉間にシワをよせる。怖い感じではなく、だからといって完全にコミカルではなく、でもおどろおどろしさは欲しい・・・。キャラクターのイメージだけでなく、シーン全体の流れも考えて曲創りをしなくてはならない久石さん、厚みのある無調の響きとパーカッションを駆使してなんとか曲を完成させたが、「とりあえずいいと思うけど・・・後でちょっと手を加えないといけないな」とポツリ。どうやら気になる箇所があるらしい。今までは1日2,3曲ペースで作曲していたが、今日は1曲完成させるのが精一杯。「これから強烈なキャラクターがどんどん出てくるからね、イヤ~大変なことになるぞ」とミュージックチャートを睨みつける。全8リールあるヴィデオのうち今日までで約半分が終了。一息つくにはまだまだ困難が続きそうである。
ライト・スタッフⅡ
2001/04/24/Tue.
本日、小生はデスクにしがみつく。いつもは久石さんとスタジオへ入らせて頂くのだが、気がついたらデスクワークがたまりっぱなし。「○×君、この間頼んだ書類出来た?」と言われるのが怖くて、不機嫌な顔つきをしながら声をかけ辛いオーラを発する事により、何とかその場をしのいでいる。慣れないデスクでPCをたたきながら、やはり気になるのはスタジオの進行状況。迎えに行った時から久石さんはヘンな咳きをいていたっけ・・・映画の撮影であちこち飛びまわっていたと思ったら、今度はビッシリとスタジオでの作業。生活体系がこんなにも激変していたら体の一つや二つ壊れてもおかしくはない。やや不安定な気候だけにカゼもひきやすいので心配していたのだが・・・スタジオ入りしているスタッフから聞いた情報によると、確かに万全の体調とは言えないが、作業は順調に進んでいるとのこと。楽曲数からスケジュールを割ると1日平均2曲以上を創っていかなくてはならないのだが、なんとこの日は4曲完成させたというではないか!スタジオから出てきた久石さん、さすがに顔がやつれて目が落ち窪んでいる。曲を創るということがどれだけパワーのいることか、あらためて思い知らされた小生である。
ライト・スタッフⅡ
2001/04/23/Mon.
「昨日はなんだか興奮してて帰ってもすぐには寝れなかったよ」と笑う久石さん。目は充血し、頬がこけている。明け方まで続いた編集作業の名残が消えぬまま、今日から再び音楽家に戻らなくてはならない。今日は主人公・千尋が不思議の国に迷い込み、いろいろな神様と遭遇するシーンに曲をつける。「ここのシーンは前創ったメロディをモチーフにしようか」と、まずはデータをコピーするところから作業は始まる。スタッフがPCに向かってセットアップしていると・・・「監督、お待たせいたしました~!」との声が。昨日編集し終えたヴィデオが上がってきたのである。映画監督としては一刻も早く見たいだろうが、今日は音楽家でなくてはならない。きっと頭の中では「う~、み、見たい!でも曲創らなきゃ・・・でも・・・!」と並々ならぬ葛藤が渦巻いていたハズ。以前「肉体的な疲れは我慢出来るんだけど、しんどいのは頭の切り替えなんだ。今日は映画、明日は音楽ってのはツライんだよね。集中力が散漫になっちゃうんだもの」と言ていた久石さん。「千と千尋の神隠し」はスケジュールも厳しいため、スタッフとしても全てをシャットアウトして作業に集中出来るような環境をセットしなくては、と考えていたのだが・・・しばしの空き時間が出来ると早速ヴィデオをチェックする久石さん。1日たつと気持ちも冷静になり客観的な見方が可能になる。「あー、あそこのカットはちょっと長いね。前のカットととのバランスが悪く感じるよ」などと問題点を列挙し、すぐさま編集室にFAXを送る。音楽家から映画監督になったと思ったら再び音楽家。頭の切り替えが出来るかどうか心配したものの、逆に気になっていたことが吹っ切れたらしく、コンスタントに作業を進めていく。イメージアルバムでも異色な雰囲気を出していたアノ曲をモチーフに、湯屋に集まる神様たちを愛嬌に満ち溢れたサウンドで表現。完成した曲を映像と合わせる時にはスタッフの中からも自然と微笑みが広がっていった。
ライト・スタッフⅡ
2001/04/22/Sun.
天気のよい日曜日である。こんな日はノンビリと・・・と言いたいところだが、久石さんのスケジュールは仕事一色。「千と千尋の神隠し」のレコーディングをやりつつ未来博の映像編集を見守ってきた1週間。この日はレコーディングをお休みして編集に没頭するのである。編集と言えば、以前はフィルムを1コマずつ手作業で切ったりくっつけたりしていたが、今は「AVID」という強い味方がいる。映像のデータをPCに取り込み、カットのつなぎを瞬時にやってくれるのだ。監督のイメージどおりのものがほぼ完成していたので、作業的には「微調整」ということであったが・・・今回の作品、普通の映画とは違って3面分編集しなくてはならないから、カットしたデータをPCに取り込むまで時間のかかること!時間にして1分も満たないシーンを編集しただけで「40分お待ち下さい」との声が返ってくるんだからコリャ大変。ちょっと編集して長時間待って・・・という作業を繰り返し、ようやく「これでいきましょう!」というものが仕上がったのはなんと明け方の3時!!
「今日仕上がったヤツ、ヴィデオでもらえるかな?」という監督の言葉に返ってきたのは無情にも「・・・1時間半以上待って頂けますか?」。どんなに文明が進んでも編集とは大変な作業なのである。明日からは再び音楽家に戻ってスタジオに入ることを考えて、ダビングをスタッフにお任せし家路についた久石さんであった。
ライト・スタッフⅡ
2001/04/20/Fri.
本日は13時からスタート。千と千尋のサントラレコーディングである。ロール2にあたる部分の作業に入る。内容を書くことが出来ないので皆さんには申し訳ないのですが、かなりエキサイティングな仕上がりになってます。また場面場面に上手く合うように音楽をつけている部分も多く、難しい作業だと思うのですが、久石氏は手馴れていらっしゃるようで次々とコンピューターに音楽データーを打ち込んでおりました。また今日フランスから突然CDが届き中を見ると、今年の初めにフランスで行ったLes Petit Poucetの主題歌の映画盤の音が入っていました。それも歌入りで。誰が歌っているのかは今ここでは申し上げられませんが、言われれば誰でも知っているくらい有名な、英語、フランス語の堪能な女性の歌手です。CDには英語、フランス語バージョンで入っており、久石氏も満足げな様子でした。ヒットの予感・・・・・
Lt.Columbo
2001/04/19/Thu.
4月16日からスタートした宮崎駿監督の新作、千と千尋の神隠しのサントラ作業は本日4日目に突入。現在ロール1と呼ばれている部分の音楽作業のアウトラインが見えた状況という状況である。今日は映画の冒頭部分の作曲であったが、いつものようにコンピューターでシュミレートしながらの作業であった。久石さんが約8時間程スタジオにこもって書き上げられた曲を映像とシンクロして見てみるとあまりのマッチングのよさにスタジオで思わずため息が出てしまった。っす、すごい!!
本当に冒頭から素晴らしい展開になっているので、皆さんも今年の夏、映画館で見られる時に体験して下さい。明日も引き続きサントラの作業の予定である。本日はこんなところで。
Lt.Columbo
2001/04/13/Fri.
ツアープロモーターのK氏がいらっしゃる。「いやー久しぶりですね」と元気なK氏。どうやら全国ツアーの打ち合わせらしい。「去年のツアー以来、全然ピアノを練習していないんだよ。マズイな~、一段落したら死ぬ気でやんないと・・・」とこぼす久石さん。今日はツアー全体の方向性を決めるにとどまったようだが、久石さんのメモには曲のタイトルが・・・!今年はソウルでの公演もあるし一体どんなツアーになるのか、スタッフも楽しみで仕方ない。
ライト・スタッフⅡ
2001/04/12/Thu.
昨日に引き続いて打ち合わせと「千と千尋の神隠し」音楽制作の下準備に追われる。撮影が終了し疲労も限界まできているにもかかわらず、休む暇なく仕事に追われる久石さん。「これから音楽家に戻らなくっちゃならないんだよね~」と頭の切り替えにやや苦労している様子だが、プリプロルームに入っていろいろ構想を練っている。今週末はゆっくり休んで下さい・・・とスケジュールを組んでいた小生だったが、映画の編集に立ち会うという久石さん。「なんですと?!」と我が耳を疑ったが、考えてみれば来週からスタジオ入りなので時間のある時に監督業をこなして頂かないとにっちもさっちもいかなくなるのは目に見えているのである。実は小生、一身上の都合により週末はお休みを頂く。「監督一人で仕事させんの~?」だなんて頼むから言わんでくれい!
ライト・スタッフⅡ
2001/04/11/Wed.
打ち上げの報告である。一次会はこじんまりしたレストランで行われたのだが、開始早々より異様な盛り上がりを見せる。ビンゴゲームが始まると空気は一変し、50名にも及ぶスタッフの100の目が異様な輝きを見せる。この日の景品はDVDやファミコンなどの豪華賞品から始まり、思い出のロケ地・屋久島の焼酎や天然水、はたまた名産のトビウオなど、実にバラエティ。ワンダーからは久石さんのCDセットと「俺自身が欲しかったんだ!」という最新のデジカメが提供され、久石さんも小生もなんとか豪華賞品を我が物にしようと躍起になるが・・・残念なことに久石さんがゲットしたのは「ハンカチセット」。ワンダーのスタッフ・Aは久石さんのCDが当たり、なんとも複雑な気分。小生、禁酒しているにもかかわらず屋久島名産の焼酎「三岳」を頂き・・・。ま、ビンゴゲームの結果はさておき、一次会終了時には久石さんのCDサイン会まで開かれ、大いに盛り上がったのだ。ほろ酔いに身を任せて流れた二次会では、メインスタッフや演出部の方々とのトークタイム。撮影が終了したことでスタッフとも今日が最後の宵であるから、話しが尽きることはない。苦労を共にし肩をたたき合って飲める仲になったとたんお別れだなんて・・・と淋しさを感じざるを得ないのだが、「出会って打ち解けた頃に別れが来る・・・映画ってそんなもんなんです。でも別れが来た時には映画が完成してるわけですから喜ぶべきなんですよね。確かに淋しいですよ、監督を筆頭にここまでのスタッフは映画を長年やっていてもなかなか揃わないですから。でも淋しさが深ければ深いほど良い作品が出来たってことですからね・・・」との某助監督のコメントに小生言葉が続かなかった。「また映画撮る時には呼んで下さい!」「また一緒にやりましょうよ!」という声に見送られながら雨降る渋谷を後にした久石さん、淋しさを感じつつも「いいスタッフといい仕事が出来たよ」と嬉しそうであった。これから「千と千尋・・・」の音楽制作と並行して編集作業が始まる。日本初のフルデジタルムービー、撮影は終了したものの完成まではまだ時間がかかりそうだ。
ライト・スタッフⅡ
2001/04/10/Tue.
小生、これより久石さんと出陣す。今晩は未来博の映画制作クランクアップを記念して、渋谷某所にて打ち上げが行われるのだ。酒にはやたらめったら強い映画スタッフだけに、どんな打ち上げになるのやら・・・一抹の不安を感じながらも、実に楽しみである。なんでもビンゴゲームもあるらしく、ワンダーのスタッフも気合いを入れて参加するとのこと。前回「カルテット」の打ち上げでは小生も景品を頂き、実は現在も肌身離さずにしている。「さて、今回は・・・」と思うといてもたってもいられない!早く行こうよ、久石さん!!
ライト・スタッフⅡ
2001/04/09/Mon.
ようやく映画制作が終了し、気候も穏やかになって一日二日はゆっくりお休みでも・・・と思いたいのだが、今日は今日で打ち合わせに忙殺される久石さん。今秋公開が決定した映画「カルテット」の宣伝会議に自ら出席し、ポスターのレイアウトやキャッチコピーなどの案に目を通していく。配給会社さんも「日本初の音楽映画」ということで今までとは一線をはくした宣伝を検討しているとのこと。夏ぐらいから集中的にプロモーションが始まるので、街中で久石さんの写真やら「カルテット」の曲を見聞きすることも多くなるのでは?時期を見計らって「カルテット制作日誌」が当ホームページでもアップされる予定。小生、今から仕込みに励まなくっちゃ!
ライト・スタッフⅡ
2001/04/08/Sun.
ついに最終日である。1日のスケジュールもさすがに今日だけは余裕があり、心なしかスタッフの顔の表情も穏やかそのもの。まずは都内のスタジオにお邪魔して水中撮影からスタートする。スタジオにそのものがプールになっていて、どうやら温水のようだ。某助監督は「いや~温泉気分ですよ。ボク今日は仕事のつもりで来てませんから」とニコニコ。1カットしかなかったせいもあるけど驚くほど順調に進み、10時半には「昼メシくばりま~す」との声。その後神奈川県へ移動し、車の走りを撮影したのだが、これには小生運転する監督の愛用車が使われる。してその理由は、スタッフの車を使えばあらゆる意味で効率がいいからである。プール撮影で仕事を終えた照明さん、本来であるならば日曜の午後をゆっくり過ごせたハズなのに、たまたま今日に限って車で来たもんだから撮影に参加することとなってしまった。つまり映画とは皆で力を合わせて創っていくということなのだ!このカットを撮り終えると一行は再び都内へ戻り実景の撮影。思うようなカットが撮れず意外に時間はかかったものの、ついにラストカットにも「OK!」の声が。「お疲れ様でした!!」の声が響いたのは新宿某所の歩道橋の上。道行く人々が「?」と見る中、3月16日から怒涛の勢いで続いてきた撮影がついに終了したのである。真横にある公園で散りかかった桜を見ながらビールで簡単な打ち上げをし、屋久島での思い出話などに花を咲かせながらお互いの健闘を称え合う久石組一同。映画制作はその都度スタッフが集結するものなので、今日で皆ともお別れなのである。淋しいような、あっけないような、複雑な心境ではあるが、とりあえず久石監督第二弾は無事に完成したのだ(実はまだ撮らなきゃいけないモノがあるんだけど)。監督曰く、今作品は「日本初のスーパー・デジタル・ムービー」とのこと。確か「カルテット」は「日本初の音楽映画」だったよね?毎回撮る度に「初モノ」になってしまうのはどうしてかしらん。この後編集と音楽制作を加えて、皆さんが御覧になれるのは夏の福島にて。乞う御期待!!
追伸・今日は帰って寝ます。「屋久島ロケダイアリー続編」もうしばらく待ってや~。
ライト・スタッフⅡ
2001/04/07/Sat.
今日はドッカ~ンの日。これではわからんだろうが、つまり爆破シーンの撮影である。早朝より栃木県某所の石材場に集まった久石組は今作品で最もデンジャラスな撮影に挑む。操演と呼ばれるスタッフ(「吊り」なんかも彼らの担当なんだよ)が役者の演技する場所に爆発物を仕掛け、迫力あるシーンを創り上げてくれる。しかし役者にとってはたまったものではないだろうな、自分が走っている真横で「ドパパパパン!!」と爆薬が炸裂するのだから。それもコワイだろうけど、今日のメインは炎の中を走り抜けるシーン。大きなガスコンロを設置し、役者を文字通り「炎で包む」。もちろん100%保証つきの安全対策が出来ているのだが、キャメラ位置から見ていても眉毛が焦げるのではと思うくらいの熱風が押し寄せるのには、小生マイッテしまった!これだけ内容なので仕込みにも時間がかかり、最後は沈んでいく太陽との時間の戦いに発展。「いくぞー!」と声がかかったとたん「雲が出てきたんで天空待ちします!」との声が相次ぎ、最後まで焦らせてくれる。日暮れと共にラストカットを撮り終えた時には、一同安堵のため息を漏らす。ところで、今日で主役の方は最終日。撮影初日は冷たい強風の中でワンピース1枚で一日頑張ってくれ、最後は焼けるような炎の中で熱演をして下さった。監督とキャメラマンから「お疲れ様!」と花束が渡されると緊張の糸が切れたのか涙がポロポロと流れ落ち、これには小生ももらい泣きしそうになった。後片付けを始めたスタッフからも拍手が沸き、それが夕日に染められた遠くの山々にこだましていく・・・クッソ~!映画ってアツいよな~!!(注・この頃には夕日は沈んでいたというのが事実です)
ライト・スタッフⅡ
2001/04/06/Fri.
スタジオを移動してのセット撮影。重々しい扉を開けると、そこには炎をイメージしたバックペイントの前に大きなテントが設置されていた。これ、劇中で出てくる野戦病院なのだ。負傷者役には、幕張ロケで御世話になった前衛的劇団「大駱駝鑑」のメンバーが参加して下さり、異様な世界観を創り上げてくれる。役者も揃い演技の振り付けもOK!ってことで撮影が始まるかと思ったのだが・・・照明がなかなか定まらず作業は一時中断。監督のイメージした雰囲気と違うだけでなく、セットの大きさの問題でライトの設置場所にも限りがあり、理想の状態にはほど遠いとのこと。2時間近く試行錯誤を繰り返した結果、ようやく納得いく状況が完成したが、監督の顔には険しい表情が残る。カメラのアングルが限定してしまったため、イメージしていた動きを撮れないのでは・・・という不安があったのであろうか?やや重苦しく始まった撮影だが、そんな雰囲気を消し去ってくれたのが「大駱駝鑑」の演技。ゆっくりとした肉体の動きは監督の描きたかった世界観を見事に現実化させ、一段と強いインパクトを与えてくれた。夢か現実か、見てよいものなのか見てはならないものなのか・・・撮影中はスタッフも固唾を飲んで見守り、スタジオ内は水を打ったような静けさに包まれる。ラストカットを撮り終え、しゃがれた「カット!OK!!」という監督の声が響いた頃には外も真っ暗。確か「今日は夕方には終わるよね」なんて話しだったハズじゃない?いやいやモノを創るということには時間がかかるものなのです。最後の最後まで油断出来なかったこの撮影もいよいよ佳境。ようやくスタッフの顔にもホッとした表情が出てきた感じである。
ライト・スタッフⅡ
2001/04/05/Thu.
朝、久石さんを迎えにいくと挨拶もそこそこに「眠い~」とだるそうな一言。毎日朝食を移動中の車内ですますのが日課になりつつあるが、今朝は「○○○ミン・V」も一緒に出す。これで「チチンブイブイ~!」と頑張ってもらおうという小生のあさはかな作戦だったのだが、さて・・・今日のスタジオセットはブルーの布が張ってあるだけという実に質素なもの。すでに撮影してある実景に合成する素材を撮るためだ。崖から飛び降りるシーンで始まり、ランニングマシーンを使った逃亡シーンなど、現場泣かせの撮影はとどまる事を知らず。撮影合間には台詞のアフレコも組み込まれ、セットとスタジオを行ったり来たりの大忙しの久石さんであったが、予定よりも早く撮影が終わり、スタッフと久しぶりの晩酌にありつける。苦労を共にする仲間と冷たいビールを飲み交わせば張り詰めていた緊張感も解け、屋久島ロケの珍道中を酒の肴にくつろぎの時間を過ごした。
ライト・スタッフⅡ
2001/04/04/Wed.
撮影所からの書き込み。今日はピアノ線を使った「吊り」の撮影である。この手の手法は香港がお手のものだったよね。最近では「マト○ックス」や「グリーン○スティニー」のワイヤーアクションはハリウッドをも魅了しているほどだけど、今回の久石組は残念な事にアクションはナシ。水中を漂っているシーンに使うという穏やかなものだが、仕込みや役者さんの負担は大変なものである。子役さんは最初こそ「ピー○ーパンみたい!」と笑っていたが、時間がたつにつれ言葉数が少なくなっていく。役者さんの負担を少しでも減らそうと能率よく作業を進めていこうとする久石さんだが、現場はなかなかそうはいかない。アングルが決まったと思ったら照明をやり直したり、ようやく本番にこぎつけたらNGが出てしまったり・・・役者の負担もさることながら、監督のプレッシャーも並み大抵のものではないであろう。時間的には短い作品だが撮影は本編並みの内容で、監督はじめスタッフの足どりも少し重くなってきた感がある今日この頃だ。
ライト・スタッフⅡ
2001/04/03/Tue.
なにを突然!とお思いの方もいらっしゃるであろう。このIT時代、インターネットの価値とはリアルタイムな情報提供でしかないはずなのに、小生はまるで逆行するかのように過去の情報にこだわりたいと思う。えらそうなことを言っているが、新しくノートPCを購入しPHSカードも準備して屋久島に向かったのにもかかわらずそれを生かせなかったことが悔しいのである。というのは全て小生の私見であるゆえ気になさらぬよう。久石さんの映画監督としての活動を少しでも皆さんに知って頂きたいというのが、当ダイアリーの本来の姿である。遅くなってしまって大変申し訳ないが、何回にわけて「屋久島ロケダイアリー・抜粋編」をお届けする。
3月19日(月)
ロケハンで来た時よりも穏やかな気候に迎えられた一行。屋久島到着と同時にとりあえずは焼き肉屋へ。ロケが始まると食生活も乱れてくるからというスタッフのありがたい心使いに、一同鹿の焼き肉に舌鼓を打つ。腹ごしらえをした後は車に乗って島をあちこち走り回る。ロケ現場に赴き撮影手順を決めていくのだが、限られた日数のわりには何気に濃い内容。スタッフや機材の移動などを含め、いかに要領良く撮影を進めていくかが今回のロケの焦点になりそうだ。
3月20日(火)
機材を満載した車輛部が到着。東京から鹿児島まで走り続け、フェリーを乗り継いで屋久島まで来たとのこと。品川や多摩ナンバーの車輛が屋久島を驀進する光景にはなんとも違和感があるが、明日からの本格的なロケが無事に始められると思うとおもわず手を振りたくなってしまうものだ。この日は宿の宴会場を貸し切って景気付けの宴が開かれる。食って飲んで大騒ぎになるかと思いきや、スタッフ一同意外にも静か。どうやら心は明日からの撮影に奪われているらしい。
3月21日(水)
早朝よりロケへ出発。10両に及ぶ車輛が屋久島の朝を突き進む。この日の撮影は鬱蒼と茂る森の中で行われたのだが、実は岩だらけで足場が悪い。岩にはコケがついていて歩くのも四苦八苦だから、ましてやカメラや照明をセットするなんて!(実はこの状況でクレーンを設置したんだけどね)岩場を飛びまわってあちこちに指示をだす監督も、「オオット!!」と危ない一瞬に何度も見舞われる。終日足場との戦いに明け暮れたが、スケジュール通りに撮影をこなし初日としては上々の出来。1ヶ月に35日雨が降ると言われる屋久島であるが、この日は女神も我々に微笑んでくれたようだ。
ライト・スタッフⅡ
小生再び登場。現在日活の撮影スタジオにて書き込みをする。今日は子役のピアノ演奏シーンとCG合成用のキャラクター素材を撮影する予定だったが・・・う~ん、とにかく時間のかかる撮影になっている。朝8時よりスタートし現在23時。さすがのスタッフも疲れを見せ始めている。一日中スタジオにこもっているので、夕方より雨が降ったことを知らぬ者もいるとか。CG合成用ということで照明のセッティングには必然的に時間がかかるのだが、それをクリアしたと思ったら子役の振り付けに一苦労。我々大人のスタンスで説明をしてもなかなかスムーズには伝わらず、かと言って甘い言葉で誘っても子供はノッてこない。フランス映画の音楽を担当した時、監督から「子供に演技をさせるのが一番大変だった」との感想を聞き、いろいろアドヴァイスを受けていた久石さんだが・・・結果は「いや~これは難しいよ!」とコメント。どうすればうまく撮影が出来るかと疲れた顔でスタッフが協議している横で、子役の女の子はピョンピョン飛び跳ねてはしゃいでいる光景は、小生から見ればなんとも残酷なものである。オッ!天使のような女の子相手に四苦八苦した撮影がどうやら終わったようだ。いや~、今日も長い一日だったな。皆さんお疲れ様です!と思いきや・・・CG合成用の撮影が残っているとのこと。久石さんはじめスタッフ一同、人気のなくなったスタジオでまだまだ頑張る予定。<追伸> 「屋久島ロケダイアリー」続編は明日以降のアップということで・・・ダメ?
ライト・スタッフⅡ
2001/04/02/Mon.
バーチャルスタジオでの撮影が始まる。最終的にはCGとの合成映像になるのだが、実写だけ見ていると「?」ってな感じ。ブルーをバックに役者さんがポツンといるだけで、モニターを見ていてもなかなか実感がわかず、某スタッフは「見ていてもあまりおもしろくないよね」とボソリ。とは言っても撮影自体は普段以上にシビアなもので、スタッフと監督の苦労は並み大抵なものではない。「用意、スタート!」と掛け声をかけるには1時間以上のセッティングを要し、しかも1分未満のカットというのだから、まさに根気比べである。結局1日12時間以上かけて撮った分量はわずか20分弱。これを編集にかけると実際使われるカットは3分?1分?何十秒・・・?映画を創るということはホント大変なのだ!
ライト・スタッフⅡ