文档:吉卜力日志/2001年4月

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 3月 2001年4月 5月
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2001年4月
2001年4月
4月2日(月)
 夏木マリさんのアフレコが行われる。夏木さんは、今回の役をかなり気に入って下さった様子。

 △△△原画・児山さんの作打ちを行う。

 いよいよ作業スペースがなくなった△△△原画班のために、夜、3スタ2階の○ ○○とムゼオのスペースを整理し、△△△用動画机を2脚入れる。ムゼオで使っているマップケースや絵の具瓶の棚、展示物など、ヘビーなものの移動にてこずったが、なんとか無事に収った。しかし、肝心の椅子が足りないので、何とかせねば。

 韓国班石井氏は朝からマシンのセッティング、をしようと思ったら、ハングルなので、意味が全く分からず、一台を日本から持ってきた日本語のシステムに入れ替えることに。石井氏がメールと携帯電話で北川内氏とやり取りをしつつ、DRのスタッフと共にセッティングを開始。結局三台のマシンのセッティングに丸一日使うことに。石井氏は「北川内さんを連れてくればよかった」と嘆いていた。
4月3日(火)
 制作のPCは、今までずっとマックだったのだが、ついにウィンドウズに全て入れ替わってしまった。やはりコストと、桐を使えることが大きいようだ。それにしても、また勉強しなおさないといけなくなるとは・・・。

 △△△原画・松本さんの作打ちを行う。

 石井氏は、今日も朝からセッティング。今度はスキャナーだ。位置をパソコンの横に移動し、操作しやすいようにしたら、机の棚がスキャナーのフタに引っ掛かり、開けづらくなってしまった。早速近くの巨大スーパー「Eマート」で家具用ゴム足を買い棚の高さを上げる。
4月4日(水)
 「千と千尋」のアフレコ第一弾がすんでほっとしたのも束の間、再びカッティ ングにむけてシートの整理を行う。

 △△△の絵コンテ部屋に机と椅子を搬入したのだが、あまり具合がよくない。 椅子はとりあえず社内で使用している事務用が明後日に都合がつくので、なんと かなりそうだ。狭いスペースで引越しや配置換えの連続だが、少しづつでも環境 をよくしていきたい。

 帰りの地下鉄の中での出来事。ソウル2号線地下鉄江南駅から日本人の女性が二人地下鉄に乗ってきた。大きな声で誰かの悪口を言っていたまではまだ良かったが、今度は袋に入ったお菓子を二人で食べだした。私の見たところ日本と違ってソウルの地下鉄では、誰も物なんか口にはしない。周りの人達は、何か嫌なものを見る目でその女性達を見ていたのだが、本人達はまったく気にした様子もなかった。私がとても嫌な気分になったのは言うまでもない。海外へ来たらその国のルールに従って欲しいものだ。
4月5日(木)
 「千と千尋」のラッシュチェックの時間になっても宮崎監督が現われない。あちこち探し回ってようやく3スタにいることを付きとめる。慌てて呼びにいくと、 美術館に展示する巨大なネコバスの模型を前にたくさんの人だかり。これのチェックをしていたらしい。ラッシュは15分ほど遅れてスタート。

 「耳をすませば」の雫役の本名陽子さんが来社。宮崎監督の案内で社内を見学 していた。

 作画スタッフ約2名の笑い声が「あまりにも素晴らしい」と、宮崎監督たって の願いで、次回のアフレコのガヤ録りに湯女役で参加してもらうことに。当のスタッフは憧れの大泉洋氏との共演とあって、今から発声練習に余念がない。いつにも増して社内に彼女らの笑い声が高らかに響き渡っていた。

 △△△色指定用のモニター調節が明日行われるため、できるだけ安定した環境 でモニターが見られるように画策する。席の移動をしたり、暗幕設置用の道具を 買ったりと、制作陣はどたばた。

 △△△原画・清水さんより、レイアウト上がりが8カット出る。
4月06日(金)
 疲れたスタッフへの差し入れに、某社からリポビタンD等ドリンク剤が大量に送られた。宮崎監督は制作・神村氏に「高い方のゼナを飲みなさい」と、優しいような残酷なような言葉をかけていた。神村氏はその前後に浴びるほどリポ Dを飲んでいたのだが・・・。

 △△△色指定用モニターの色味を安定させるために、モニターを囲むように取り外し可能な暗幕を設置する。暗室というよりは、文化祭とかでよく見かける「占いの館」みたい。5時よりT2高橋さん、イマジカ柴田さんらがモニターのキャリブレーションのために来社。モニターの調整自体はうまくいったので、仮だったボードの取り込みを再び行ってもらう予定だ。

 今日から本格的にスキャンを手伝ってくれるハムさんが作業を開始する。石井氏から怪しいハングル+英語+日本語の説明を受けつつ次々とスキャンをこなしてた。
4月07日(土)
 △△△メインスタッフと制作とで、今後の作業ペース等について打ち合わせ。「千と千尋」が佳境だが、こちらものんびりとはしていられない。

 T2と連絡をとり、△△△に必要な様々なテストについて話す。

 ソウルでデジタルペインを手伝ってくれるスタジオ、JEMに「千と千尋の神隠し」のペイント上の注意等話に行こうと連絡を取るも、引っ越しの片づけがうまくいかず、まだマシンのセッティングが出来ていないとの返事。月曜日に予定を組む。
4月9日(月)
 「千と千尋」の効果音入れの手伝いに演助・高橋氏がテレセンへ。

 明日入る予定の△△△色指定様用PCをセッティングするため、床下のラインを仕切り直す。またも北川内さんの手を借りることになりそうだ。

 今日こそJEMにと思ったら、まだ引っ越しの片づけがすまないらしい。中途半端な状態で、説明しても二度手間になってしまうので、明日に延期。
4月10日(火)
 沢口靖子さん、上条恒彦さんが「千と千尋」のアフレコに訪れた。「宮崎監督が美人を連れて歩いている」との話に何事かと思ったが、社内見学する沢口さんを案内していたらしい。

 △△△に色指定用PCが入る予定だったのだが、在庫不足のため納入されず。せっかく準備万端整えていたのに・・・。おまけに色指定用のモニターが不調。原因を探るためマックを入れ替えて試しているのだが、未だによくわからない。

 ジプシーのように3スタ内を転々としていた制作・出口氏が、3スタの席がとうとうなくなるため、1スタに引越しすることに。

 T2から△△△のボードを取り込んだデータが届く。

 ようやくJEMでゴミ取り&ペイントの講習会。セッティングから始まり、細かな注意事項に至るまで約半日をかけて行う。その後実際にペイントしてもらって感じを見る。さすがトゥーンズに慣れているだけに問題はない。さっそく作業に入ってもらう。
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美女に囲まれ講義する石井氏
4月11日(水)
 「あと十年は戦える!」と思われていたカット袋が、早くも底をつきかけている。デジタル化によってセルは無くなったとはいえ、作画は細分化されているので、どうしてもカット袋は今までの倍以上必要になってしまう。業者に連絡して3万枚作る予定。

 明日からの「千と千尋」のカッティングに備えて、QARのデータをチェックする。5時より編集・瀬山氏が来社し、差し替え作業を行ってもらった。

 △△△撮影・T2と、ボード等について話し合う予定を13日の金曜日に入れる。別に呪われているわけではないのだが。
4月12日(木)
 「千と千尋」第三回カッティングを行う。前回はできなかったR-2、さらにR-5に着手。

 ソウルではちょうど桜の季節。通勤電車の中からあちこちに満開の桜が見える。あ~花見がしたいと思いつつ、そんな暇はないので、スタジオへ直行。

 昨日から本格的な作業に入っているJEMから「上がりがあるが、頼んでいるCD-Rライターがまだ来てないので、上がりは明日」と連絡が入る。講習時に問題ないように見えたとはいえ、始めての上がりなのでイッシー共々ドキドキ。

 ハムさんが使用しているスキャナーが異音を発し始め、ついには連続して使うと線の一部に波打ちが生じるようになる。慌ててメーカーに修理を依頼。取りあえずスキャナーを休ませつつスキャンする。
4月13日(金)
 昨日に続いて「千と千尋」のカッティング作業に追われる。

 温泉や山の音を録音するために、草津への強行軍に出かけていた「千と千尋」の音響スタッフが帰ってくる。当然、温泉にゆっくりつかる暇などなかったらしい。

 △△△のボード取り込みの打ち合わせのため、美術・田中氏と色指定・三笠氏がT 2へ行く。

 スキャナーの修理に来てもらう。見ていると何とあっという間にスキャナーをバラバラに。イッシーの「ここまでばらばらにすることあるのかなー」という心配をよそに、スプリングが一本飛んで、みんなで探すというアクシデントはあったものの、2時間ほどで修理完了。は、早い。
4月14日(土)
 「千と千尋」効果音作業に立ち会うため、演助・高橋君が再び駆り出される。

 色温度計を使って△△△のモニター周りをチェックする。また、ボードの実物とモニターを見比べる際の環境を安定させるため、蛍光灯のスタンドを購入。しかし、色温度が高くて明るすぎるので、ランプ自体を再考することになる。
4月16日(月)
 11時から1スタのバーにて、スタジオジブリとムゼオ・ダルテ・ジブリの新年度入社式が行われる。今年のジブリの新人は作画3人、美術2人の計5人。徳間書店・松下新社長、宮崎監督、鈴木プロデューサーからのお祝いの言葉のあと、各自が紹介された。それにしても、普段着のまんまで並ぶジブリの新人と、スーツに身を固めたムゼオの新人とが対照的だった。

 △△△色指定助手のPC2台がようやく到着。電源確保や、ソフトのインストールなどのセッティングを行う。一方、昨日から問題のモニター用スタンドの照明をいろいろ試してみたのだが、うまくいかない。蛍光灯では色温度がどうしても高くなってしまうのだ。そこで、ボードを見る環境は間接照明でやってみることにする。

 先週末に始めてアップしてきたソウルペイント班の上がりを見てイッシーがまとめた注意事項を、じかに説明するために再びJEMへ。2時間ほどで終了。夕方早速上がりが来る。
4月17日(火)
 本日の「千と千尋」のアフレコはガヤ録り。声の大きさと笑い声の素晴らしさで選ばれた女性スタッフ数人も、湯女役として特別に参加する。スタッフ達の憧れの的の大泉洋氏との競演がついに実現した。
 じわじわと作画が進む△△△では、原画・西尾さんのレイアウトが5カット上がる。
4月18日(水)
 「千と千尋」の作監カットが、ほぼ底をつく。韓国を含む動画スタッフのがんばりに拠るところが大きいのだが、まだまだ怒涛のごとく動画をこなさないといけない。もちろん、作監にはさらにふんばってもらわないといけない。
4月19日(木)
 「もののけ姫」以来、半ば恒例と化したテレビマンユニオンの取材が昨日から入り、スタジオの各所で撮影をしている。
 明日、明後日に行われる「千と千尋」の音響作業のために、線撮りやモブシーンの台詞チェックに追われる。

 △△△作監棚の増設を行う。市販のラックに、板を切って載せてスペースを広 げるというまたもや大工仕事。

 △△△原画・大谷さん、西尾さんのレイアウトが終了。
4月20日(金)
 東京テレビセンターにて「千と千尋」のガヤのアフレコを行う。30人近い役者さんに入っていただいて収録したのだが、人間の言葉を話さないという設定のキャラクターが多く出てくるため、感情表現の微妙なニュアンスが出しにくいらしく、てこずっていたそうだ。

 一方ジブリでは、いよいよ切羽詰ってきた「千尋」の緊急制作会議が、昨日か ら幾度となく開かれている。
4月21日(土)
 「千と千尋」の作監上がりが、少しながらも需要に追いつきそうだ。しかし、今週は動画上がりが6700枚を超えたということもあって、かなりきわどかった。また、動画のペースアップを担ってくれている韓国スタッフのことを考えると楽観はしていられない。

 新人研修生のために1スタに持っていかれて、ぽっかり空いていた△△△の作画机スペースに、新しい机がやってきた。なんだかあちこちで場所や机の争奪戦をしているなあ。

 日本から動画INが来ないと手空きが・・・と、うなっていた今週だが、週末から来週頭にかけて2000枚のINが来ると連絡があり、まず第一段の650枚が来た。ちょっと一息。来週のINにも期待しよう。
4月23日(月)
 「千と千尋」の作業を終えた原画・山形さんが、息つく間もなく△△△に入ってもらうことになる。まずは作打ち6カット。
 ○○○のシナリオ決定稿・改訂版が上がり、3スタのメインスタッフに配られる。

 日本から作監上がりが一気に1500枚IN。ついに来た。またまたホッと一安心。しかしこのスケジュールを考えるともっともっとがんばってもらわなければならないのだ。
4月24日(火)
 休み無しで働き詰めの制作・神村氏が、かなり疲れきった様子。原画の残りが 50カットを切るところまでこぎつけた「千と千尋」だが、気を抜くことは出来ず、 パソコンを枕に仮眠を取る姿が痛々しい。

 △△△の絵コンテが、Bパート途中までの79カット分上がる。これで現在の 総上がり数は450カットとなった。
4月25日(水)
 研修生用の動画机が壊れていたので注文していたライトとスイッチまわりの部品が、飯田木工より届く。机はかなり古いものもあるため電気系統がいかれやすい。構造自体はシンプルなのだが、内部がいかれると、いくら大工仕事に慣れてきた制作といえども手が出せない。

 ジブリ出版部の新刊「井岡雅宏画集」が社内販売申し込み用に回覧される。「赤毛のアン」や「アルプスの少女ハイジ」などの名作の貴重な美術が多数収録されていて、つい見入ってしまった。
4月26日(木)
 明日の「千と千尋」キネコ出しのため、線撮りカットの洗い出しを行う。

 イッシーと再びJEMへ、ゴミ取り時にどこまでやるのか、余分な線はどの程度まで削るのか等のアドバイスをしに行く。ラストスパート時にはどかどか送られてくるに違いないので、今のうちに出来るだけノーチェックで通せるくらいまで、もっていければ。
4月27日(金)
 印刷屋さんに注文しておいたカット袋3万枚のうち、1万5千枚が1箱300枚の箱詰め50箱でやってくる。倉庫にぎりぎり入れることができたのだが、来週には同数のカット袋がまたも50箱で来ることになっている。保管場所をどうにかしなければならない。しかし、かつてなら「10年戦える」といわれた量なのだが、何年持つのだろうか?

 一方、「千と千尋」のプレスキット50部のはずがなぜか500部も届き、1スタ入口に山積みとなる。劇場に立てかける宣伝用の巨大なボードとともに、これらも倉庫行き。

 我々が働いているソウルDRデジタルの近所に床屋がオープン。なんと5000ウォンという超激安チェーン店だ。それはいいのだが、お昼前から大音響で音楽をかけつつ客引きをはじめた。仕事をしていてもがんがん音楽が聞こえてくる。夕方までぶっ通しのりのり状態。まあ、私らはラジオの代わりに音楽が聴けるからいいけど、普通の家からは苦情は来ないのだろうか?
4月28日(土)
 来月10日に迫った後半のカッティングにむけて、線撮り対策に追われる。QAR隊員・松原氏の活躍に期待がかかる。

 夕食時、総務・洞口氏特製のシチューが大量に振る舞われ、深夜には館野さんから蕎麦2キロが振る舞われる。まさに「腹が減っては戦が出来ぬ」といった感じだ。

 実はこのページの原稿は、ソウルでファイル化され、日本にメールで送って更新されているのだが、送られてきた上の原稿を読んで韓国班の面々は山のようになった動画上がりに囲まれつつ「シチューが食べたいよー、蕎麦が食べたいよー」と羨ましがっている。
4月30日(月)
 今日は動画がいっぱい入るはず、と9時半にDRに出社するも、日本からのファックスによると入る動画は500枚強。トホホ。まあ無いより良いかと思っていたのもつかの間、午後一には一気に500枚もの上がりが・・・。うれしいけど入れが少ないのでつらい。