文档:野中君发吉卜力新闻/2017年

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 2016年 2017年 2018年
「野中くん発 ジブリだより」1月号
 
 皆様、新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。
 今年の干支は酉。宮崎駿監督が描き下ろしたスタジオジブリの年賀状が、今回も公式サイトに掲載されていますが、ニワトリと可愛らしいキャラクターが登場する楽しい絵柄ですので、宜しければご覧下さい。ちなみに、ジブリの公式サイトでは「最新情報」のコーナーで、毎年元旦の頃に会社の年賀状の絵柄(大半が宮崎監督の描き下ろしです)を掲載していますので、ずっと遡って見て行くと結構面白いです。今だと2006年以降のものは掲載されているようです。
 さて、スタジオでは現在、昨年から引き続き三鷹の森ジブリ美術館の新作オリジナル短編アニメーション「毛虫のボロ」を制作中です。昨年11月に放送されたNHKスペシャル「終わらない人 宮崎駿」でもこの作品は中心的に採り上げられていましたが、宮崎監督の最新作である本作は、手描きの原動画・背景の作業を昨年中にほぼ終え、CG、仕上、撮影等の残された作業を進めているところです。従来のジブリ作品よりずっとCGの比重が高い本作は、手描きとCGのハイブリッドといった感じですが、ラッシュで観た完成カットは見たこともないような映像の連続で、またもすごいものになりそうです。完成までもう少しお待ち下さい。なお、先述のNHKスペシャルはとても好評だったらしく、NHKのBS1で1月29日(日)に70分のロングバージョンが放送予定とのことです。地上波は50分枠だったので、すでに観た方も再度観る価値がありそうですね。※
 テレビと言えば、おなじみの金曜ロードSHOW!で1月には3週連続のジブリ作品放映が実施されます。題して「3週連続 冬もジブリ」。1月13日(金)に「風の谷のナウシカ」、20日(金)に「千と千尋の神隠し」、そして27日(金)は「耳をすませば」。どうぞお楽しみください。同時展開でデジタル媒体では様々な楽しい仕掛けも実施されますので、詳しくは日本テレビの特設サイトをご覧下さい。
 最後になりましたが、現在、静岡市美術館では「スタジオジブリ・レイアウト展」を好評開催中。2月5日(日)までですので静岡県のみならず近隣の県の方々もぜひどうぞ。
 では、改めまして、本年も宜しくお願い申し上げます。
※『熱風』本誌2017年1月号に掲載された本文章に誤記がありました。上記の通り"BS1"が正しく、"BSプレミアム"は誤りです。お詫び申し上げます。
 
「野中くん発 ジブリだより」2月号
 
 既報の通り、スタジオジブリ最新作「レッドタートル ある島の物語」が米アカデミー賞長編アニメーション映画部門にノミネートされました。
 本作はオランダ出身のマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督初の長編映画で、昨年カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門特別賞を受賞。9月に日本でも公開され大変高い評価を得ました。マイケル監督は「父と娘」(原題:Father and Daughter、旧邦題「岸辺のふたり」・2000年)でアカデミー賞短編アニメーション映画賞を受賞しており、「お坊さんと魚」(1994年)も同賞にノミネートされています。「父と娘」で〝人生〞を描いたマイケル監督ですが、「レッドタートル」は〝自然と人間〞というテーマも重ねながら、シンプルで大変美しい映像でさらに深く〝人生〞を描いて大きな感動を与えてくれました。授賞式は2月26日(日)夜(日本時間27日午前)。受賞を期待したいです。なお、今号から1年間『熱風』の表紙をマイケル監督が描いてくれることになりました。お楽しみに。
 そして、本作のブルーレイディスクとDVDが3月17日(金)にウォルト・ディズニー・ジャパンから発売されます。ブルーレイはマイケル監督の短編映画5本(前記短編2本+「アロマ・オブ・ティー」「掃除屋トム」「インタビュー」)もすべて収録し、監督自身が監修したデジタルリマスター版での初ブルーレイ化です。また映像特典として「ロンギング〜メイキング・オブ・レッドタートル」(約57分)、「高畑勲がマイケル監督と語る、アニメーションの源泉と文化 『レッドタートル ある島の物語』はどこから来たのか?」(約47分)、予告編集も収録されており、特に「ロンギング」は映画の制作過程と共に、マイケル監督の人となりも丁寧に捉えられていて必見でしょう。2枚組で税抜希望小売価格1万円。DVDは本編は「レッドタートル」のみですが前記特典はすべて収録、2枚組で税抜希望小売価格4700円です。レンタルもセル発売日と同日に開始。ぜひ皆様ご覧下さい。
 ところで、1月14日(土)に三鷹の森ジブリ美術館が1千万人目のお客様をお迎えすることが出来ました。開館16年目となるジブリ美術館ですが、本当に有難いことに未だにチケット完売が続いています。中島清文館長が14日のセレモニーで「感謝しかないです」と話しましたが、本当にそう思います。これからもどうかジブリ美術館を宜しくお願い申し上げます。
 
「野中くん発 ジブリだより」3月号
 
 この原稿がギリギリ修正可能な最終日は米アカデミー賞授賞式当日。結果は残念でしたが、その少し前、2月4日(日本時間5日)にはアニメーション界のアカデミー賞と言われるアニー賞の発表があり、スタジオジブリ最新作「レッドタートル ある島の物語」はお陰様でインディペンデント長編アニメーション映画賞を受賞しました。マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督は授賞式に出席していたので自らトロフィーを受け取り、アーティスティック・プロデューサーの高畑勲さん、鈴木敏夫プロデューサーをはじめこの映画のスタッフ、関係者に対し壇上で感謝の言葉を述べました。アカデミー賞の結果は前述の通りですが、ノミネートだけでも大きな意味のある賞であり、作品が認められたことの証でしょう。ともあれ、3月17日(金)にいよいよ「レッドタートル」のブルーレイディスクとDVDがウォルト・ディズニー・ジャパンから発売されます。ブルーレイはアカデミー賞短編アニメーション映画賞受賞の「父と娘」(旧題「岸辺のふたり」)を含むマイケル監督の短編映画5本もすべて収録。大変見応えのあるメイキング・ドキュメンタリーや、高畑さんとマイケル監督のセミナー等、特典も充実しています。詳しくは本作の公式サイト(http://red-turtle.jp/)をご覧下さい。 なお、お気づきと思いますが先月から本誌の表紙をマイケル監督が描いています。
 さて、スタジオジブリでは三鷹の森ジブリ美術館のオリジナル短編アニメーション第10作「毛虫のボロ」の制作がいよいよ終盤を迎えています。宮崎駿監督最新作となる本作はCGを大幅に採り入れており、作り方がかなり変わりました。そのため完成期日についてはなかなか言えなかったのですが、2月中旬の段階で映像については残すところ数カットまで来ました。音響等、ポストプロダクションの作業はこれからですが、ともかく終わりが見えてきたのは確かです。完成まであともう少しお待ち下さい。

 最後になりましたが、鈴木プロデューサーが描き下ろし、伊藤園のキャンペーンに使われているオリジナルキャラクター「となりのおにぎり君」が好評なので、LINEスタンプが3月16日に発売されることになりました。こちらもどうぞ宜しく。伊藤園による公式サイト(https://www.itoen.co.jp/tonarinoonigirikun/)では、近藤勝也くんの描いた大変面白い動画を楽しむことも出来ます。どうぞご覧下さい。
 
「野中くん発 ジブリだより」4月号
 
 4月になりました。ジブリの社内行事として春にはいつもお花見弁当の配付というものがありますが、今年は4月3日(月)の実施でした。この日は昼休みがいつもより長く2時間あり、お弁当がスタッフ全員に支給され、行ける人は小金井公園など各自好みの場所でお花見をしてきたはずですが、関東地方の開花予想は平年並みとのことだったので、果たして桜の花は十分残っていたでしょうか。今年この日に設定したのは、4月1日付で入社した新人たちの出勤初日だったのでお昼を用意することになり、それなら恒例のお花見弁当も同じ日にしよう、となったからです。この春、11人の新人が三鷹の森ジブリ美術館スタッフに加わりました。昨年8月末に募集を開始したところ、大変多くの応募があり、秋から冬にかけてじっくり選考を行った末に採用が決まった人たちです。他の仕事を経験してきた人が大半ですが総じて若く、フレッシュな働きを期待したいですね。新人といえばスタジオでもわが制作業務部の1名を含め3名ほどメンバーが増えました。春らしく、新たな気持ちで仕事に取り組んでいきたいものです。
 さて、4月はまた各地でジブリ関連の展覧会が開催されます。まず4月15日(土)には長崎歴史文化博物館で「ジブリの大博覧会」がスタート。愛知、新潟、東京と好評を博してきたこの展覧会ですが九州は初。会期は6月
25日(日)までです。また、4月20日(木)からは山口県立美術館で「スタジオジブリ・レイアウト展」が始まります。同展はもうすぐ10年目を迎えようとしており、人気の高さがうかがえます。その間、内容は向上し続けており、以前観た人も新たな発見があるはずです。6月18日(日)まで。そして現在、長野県の安曇野ちひろ美術館では開館20周年記念の一環として、高畑勲監督が手掛けた展覧会「高畑勲がつくるちひろ展 ようこそ!ちひろの絵のなかへ」が開催中です。こちらの会期は5月9日(火)まで。詳しくは同館のホームページをご覧下さい。http://www.chihiro.jp/azumino/
 最後になりましたが、鈴木敏夫プロデューサーの本『ジブリの文学』が岩波書店から先月末に発売されました。『ジブリの哲学』の続編で、今回は書名にあるように文芸や教養に関する文章が主です。朝井リョウ・池澤夏樹・中村文則・又吉直樹といった方たちとの対談も収録。興味のある方はご覧になってみて下さい。
 
「野中くん発 ジブリだより」5月号
 
昨年の今頃は、三鷹の森ジブリ美術館で開館以来初となる改修工事のための長期休館があり7月中旬までお休みしましたが、今年は例年通り、展示替えのために5月15日(月)から26日(金)まで2週間ほど休館した後、5月27日(土)より新しい企画展示「食べるを描く。」が始まります。
 スタジオジブリ作品は、食事のシーンが印象に残るとよく言われます。食事だけでなく、色んな日常生活の描写を丁寧にしているのがジブリ作品の特徴の1つだろうと思うのですが、中でも食べるシーンとそこに出てくる食べ物が語られることは多く、一部では"ジブリ飯"なる言葉も使われているようです。どんなシーンがあったのか、そこにはどういう意図がこめられていたのか、そしてどういう工夫がなされてきたのか。今回の企画展示は様々なジブリ作品で描かれてきた"食べること"をテーマにして構成されています。
 展示では、「千と千尋の神隠し」で千尋がおにぎりを涙を流しながら食べるシーンや、「ハウルの動く城」でハウルがベーコンエッグを作りソフィーやマルクルと一緒に食べるシーンなどの、原画や絵コンテ、背景画などの制作資料を見せながら、作画の技術、作り手の意図や工夫を解説します。また、「となりのトトロ」の草壁家の台所、「天空の城ラピュタ」のタイガーモス号のキッチンを実物大(もちろん本当は実物はないのですが、まあつまり実際の人間のサイズに合わせた大きさということですね)で制作し、映画の世界を体験し楽しんでいただけるようになっています。さらに、"食"を描くことは登場人物たちの暮らしや文化を描くことでもある、ということで、映画を作るときの資料になるような参考図書の紹介コーナーも設けます。こうした展示を通して"食べる"ということを今一度振り返ると共に、映画の楽しみ方がさらに豊かになるのではないでしょうか。今回の企画展示は観終ったあと、お腹がすごく空きそうですね。企画・監修は宮崎吾朗監督が担当します。ご期待下さい。
 なお、今年もジブリ美術館では夏休みシーズンチケットの先行抽選販売を実施します。7月分は5月25日(木)から5月31日(水)まで、8月分は6月25日(日)から6月30日(金)までインターネットと電話で受け付けます。一般販売分はいつも通り前月10日より発売開始。詳しくはジブリ美術館のホームページをご覧下さい。http://www.ghibli-museum.jp/}-
 
「野中くん発 ジブリだより」6月号
 
5月19日(金)、スタジオジブリは宮崎駿監督の新作長編アニメーション映画制作に向けての、新人スタッフ募集を発表しました。
 昨年11月にNHK総合で放送された(今年1月にBS1で長尺版も放送)NHKスペシャル「終わらない人 宮﨑駿」は、三鷹の森ジブリ美術館の新作オリジナル短編アニメーション「毛虫のボロ」の制作過程を主に追った番組でしたが、その中で、宮崎駿監督の長編新企画の件が紹介されました。その後、「ボロ」制作をほぼ終えた宮崎監督がその新作長編の絵コンテ執筆を手掛けていることも世間には伝わっていたと思いますが、このたび、ジブリは新人スタッフ募集を発表し、宮崎監督が新作長編アニメーション映画制作に踏み切ることを公式に明らかにしました。
 募集職種は動画と背景美術で、いずれも若干名の新人を期間3年の契約社員として採用予定。現在応募受付中です。今月号の『熱風』にもこの募集の告知ページがあり、どのような経緯があって、どういう意図で今回の募集に至ったかの説明がありますのでぜひそれをご覧下さい。募集要項等ももちろん記載されています。応募に必要な提出物のうち、履歴書はジブリのホームページから専用フォームをダウンロードして頂くことになるので、その気のある方は最初からホームページをご覧頂くのが早道かもしれません。今回ジブリが発表した内容、応募に必要なすべての情報がホームページには掲載されています。応募書類の提出締切は7月20日(木)必着。合格者の入社は10月1日付の予定で、まずは6ヶ月間の研修があり、その後は新作長編の制作に加わってもらいます。「若い力を貸して下さい」。どうか宜しくお願い申し上げます。
 さて、現在、長崎歴史文化博物館では「ジブリの大博覧会」が、山口県立美術館では「スタジオジブリ・レイアウト展」がそれぞれ好評開催中ですが、長崎は6月25日(日)まで、山口は6月18日(日)までと会期の終わりが近づいてきました。一方、福島さくら遊学舎では「近藤喜文展」が始まりました。いずれも見応え十分ですので、それぞれのエリアにお住まいの方はこの機会にぜひご覧ください。さらに、高畑勲監督が手掛け、安曇野ちひろ美術館で大変好評だった「高畑勲がつくるちひろ展 ようこそ!ちひろの絵のなかへ」も現在、東京のちひろ美術館で開催中です。こちらもぜひどうぞ。
 
「野中くん発 ジブリだより」7月号
 
 夏の季節がやってきました。この夏も各地でジブリ関係の展覧会が開催されます。まず「ジブリの大博覧会」が7月7日(金)から大分県立美術館で始まっています。大分でジブリの展覧会が開催されるのは初めて。「ジブリの大博覧会」は愛知、新潟、東京、長崎と巡回し好評を博してきましたが、途中から「スタジオジブリ 空とぶ機械達展」のパートが加わり、そこがさらにパワーアップして今の展示内容になっています。次に長崎県美術館では「スタジオジブリ・レイアウト展」が7月15日(土)からスタート。アニメーションの画面作りの要と言えるレイアウトを約1300点展示していて見応え十分のこの展覧会、長崎では「長崎ジブリイヤー」として、6月まで開催していた「ジブリの大博覧会」からの連続開催となります。また、秋田県の大仙市大曲交流センターでは「第二楽章 男鹿和雄展」をやはり7月15日(土)から開催。背景美術の第一人者男鹿さんが吉永小百合さんとコラボレーションし、平和への願いを込めて描いた絵の数々を男鹿さんの出身地秋田で展示します。貴重な機会ですのでぜひどうぞ。地元と言えば、愛媛県新居浜市のあかがねミュージアムでは7月8日(土)より「近藤勝也展」を開催中。「魔女の宅急便」「崖の上のポニョ」等の作画監督として力を発揮してきた勝也くんですが、新居浜出身ということで当地での展覧会開催となりました。幅広い展示内容でこれまた見応えがあります。他にも、福島さくら遊学舎で6月から開催中の「近藤喜文展」も、8月末までやっていますので、夏の間に福島に行かれる方はぜひお立ち寄り下さい。
 さて、スタジオジブリでは6月から7月にかけて社内で引越しがありました。宮崎駿監督の新作長編制作のために、いくつかの部署の場所を変更したのです。ここ2年程、第1スタジオの2階には事務系の部門が置かれていましたが、ここが制作部門に戻り、我々事務系部門は以前と同様に第5・第3スタジオに移りました。徐々に新作制作の体制が整いつつありますが、そのために実施中の新人募集もいよいよ締切が近づいています。動画と背景美術で若干名を募集中ですので、その気がある方は至急ジブリのホームページをご覧下さい。応募書類は7月20日(木)必着です。

 最後になりましたが、金曜ロードSHOW!では7月14日(金)に米林宏昌監督作品「思い出のマーニー」を放送します。こちらもどうぞ宜しく。
 
「野中くん発 ジブリだより」8月号
 
 この欄でも以前書いたように、スタジオジブリでは動画と背景美術の新人募集を5月に開始しました。締切は7月20日、この日に応募書類必着ですが、この原稿を書いている締切日直前の時点で、すでにかつてないほど多数の応募を頂いています。こういう募集は締切日に向かってどんどん届く書類が増えますが、今回は本当に数が多く、担当部署の管理部だけでは処理しきれないので制作部や事務系部門の人間も手伝って、応募書類の処理をしています。今回、海外からの応募がとても多いことが特徴の1つとして挙げられます。以前同じように募集したときは、海外からの応募はほんの数える程でした。これはやはり、グローバル化の影響があるのでしょう。SNSの発達も関係していそうです。新人募集とは違いますが、三鷹の森ジブリ美術館の来館者もここ数年、海外からのお客さんが本当に増えていて、それと通じるものがあるように思います。ともあれ、この号が配布される8月10日には書類選考はすでに終わっていて、9月には書類選考通過者に対する実技試験や面接が行われる予定です。合格者は10月から入社し6ヶ月の予定で研修を受け、必要な技能を身につけた後に、宮崎駿監督の新作長編映画のスタッフとなって腕を振るってもらう予定。新しい力に期待したいです。
 その宮崎監督の新作ですが、本格的に作業に入るべく、先月も書いたように7月頭に社内で引越しを行い、制作系の各部署を新たな場所に配置しました。メインスタッフと制作進行は以前と同じ場所に戻りましたが、他の部署は今回変更があり、新鮮なレイアウトとなりました。7月3日(月)には午前中にメインスタッフに向けて宮崎監督が自ら作品説明を行い、その後、制作部門の新たなスタートということで〝開所式〞を実施。昼食を第1スタジオのスタッフ他で一緒に頂き気持ちを新たにしました。この後も徐々にスタッフが増える予定で、さらに制作は本格化していきます。
 さて、新人採用と言えば、三鷹の森ジブリ美術館でも来年4月入社予定の新人を募集開始しました。締切は8月31日(木)。詳しくはジブリ美術館のホームページをご覧下さい。http://www.ghibli-museum.jp/
 最後になりましたが、ジブリ美術館の新企画展示「食べるを描く。」のパンフレットが完成しました。大変好評の展示と併せてパンフレットもどうぞ宜しく。館内で販売中です(ジブリ美術館は予約制です)。
 
「野中くん発 ジブリだより」9月号
 
 スタジオジブリでは例年、8月15日を含む週が夏休みとなります。去年から山の日が始まったので、今年は8月11日(金)から20日(日)までの10日間、連続休暇となりました。天候が今ひとつだったのは残念でしたが、スタッフはおおむねゆっくりと休むことが出来たようです。もっとも三鷹の森ジブリ美術館は当然ながら夏休みはなく、毎日沢山のお客様にお越しいただきました。企画展示「食べるを描く。」も相変わらず好評で、有難いことです。8月19日(土)には三鷹の阿波踊りが中止になるほどの激しい雷雨がありましたが、ほぼ問題は無かったようです。
 さて、先月お披露目がありましたが、宮崎駿監督が機体の塗装デザインを監修し、鈴木敏夫プロデューサーが尾翼の社名を揮毫した水陸両用飛行機が今、瀬戸内海などの空を飛んでいます。広島県尾道市に本拠を置くせとうちSEAPLANESが昨年、日本で半世紀ぶりに水陸両用機による遊覧飛行等の航空運送事業をスタートさせましたが、その1周年を記念して塗装された特別な機体です。昨年、たまたま縁があってこの件の打診を受けたのですが、宮崎監督がその水陸両用機の機体を気に入り塗装デザイン監修をすることに。さらに話が進むうちに鈴木プロデューサーも一肌脱ぐことになって紋章周りの社名の揮毫(きごう)をし、この度晴れて塗装が完成、運航開始となりました。愛称は「ラーラ ロッサ」。〝赤い翼〞という意味のイタリア語の言葉をベースにして命名されました。この機体が多くの人に愛され、また、水陸両用機による航空事業が発展することを期待したいです。
 ところでちょうど広島では、熊野町の筆の里工房で「スタジオジブリ 鈴木敏夫 言葉の魔法展」が開催中です。先ほども揮毫の話に触れましたが、この展覧会は、これまで鈴木プロデューサーが書いてきた様々な書や、ジブリ作品関連の膨大な手書き資料、あるいは名台詞を書き下ろした書やキャラクターデザイン、イラストなど、〝手書き〞と〝手描き〞の両面にわたる多数の展示で、言葉の魅力を表現しています。熊野筆はジブリの美術スタッフもよく使っており、そうしたこともあって、筆の里工房ではこれまでにもジブリ関連の展覧会がいくつか開催されてきましたが、今回は一段と筆と関連の深い内容と言えそうです。会期は11月5日(日)まで。中国地方にお住まいの方、あるいはお越しの方はぜひお立ち寄り下さい。
 
「野中くん発 ジブリだより」10月号
 
 このコーナーでも以前書いたスタジオジブリの新人採用ですが、合格者が決まりました。今回、宮崎駿監督の新作長編スタッフとして働いてもらうことを前提に、動画と背景美術の部門で若干名の募集をしたわけですが、有難いことに本当に沢山の方に応募していただきました。7〜9月に書類選考、実技試験、面接を行い、その結果、動画6名、背景美術5名が選ばれました。10月頭から半年間まず研修を受け、その後に実作業を通してさらに学びつつ仕事をしてもらうことになります。若い力に期待したいです。新人が一度にこれだけ入社するのは結構久しぶりのことなので、受け入れの担当者もなかなか大変と思いますが、スタジオの雰囲気もきっと少し変わることでしょう。
 さて、秋の季節がやってきました。ジブリでは一部の例外を除き毎年、秋に社員旅行を実施してきましたが、今年もその予定です。しかし、今回は諸事情により、行くことは決まっているのに目的地がなかなか決まらず社内の皆がいささかやきもきしておりました。ですがこの原稿を書いている9月中旬、やっと決まったとの知らせが届き、ちょっとほっとしているところです。何だかんだ言いながら、私も含め、社員旅行を結構楽しみにしている人が多いのだなあと改めて感じた次第。そう言えば前述の新人たちは、入ったと思ったらすぐ社員旅行となりますね。まあ、社内の色んな人と触れ合ういい機会となるのではないでしょうか。
 新人採用と言えば三鷹の森ジブリ美術館でもこの夏に募集をしましたが、こちらも多数の応募者があり現在選考中です。ジブリ美術館はこの10月1日で開館から丸16年が経過しました。相変わらず沢山のお客さんに来館いただいており、満員が続いていて本当に有難いことです。開館当初は、何年か経ったら来館者も減ってきて、チケットの予約制も必要なくなっていくかも、と予想するスタッフもいたのですが、嬉しい方向にその予想ははずれ、17年目の今も、ローソンのチケット予約販売システムは改良を加えられながらフル稼働が続いています。ジブリ美術館自体も少しずつ変化していて、たとえば昨年の改修工事の折には、屋上庭園に「天空の城ラピュタ」をイメージした新たな造形物が追加されたりしましたが、そうした点も盛り込んで、美術館の図録の新バージョン・増補改訂版(第四版)が近日中に発売開始予定です。こちらもどうぞ宜しく(ジブリ美術館は予約制です)。
 
「野中くん発 ジブリだより」11月号
 
 秋が深まり、気が付くと今年も残り少なくなってきました。スタジオでは10月に入社した動画・美術の新人の研修が続いています。もちろん新作長編も制作中。そんな中、12月からまた、スタジオジブリの展覧会がいくつか開催されます。
 まず、大阪のあべのハルカス美術館では12月2日(土)に「ジブリの立体建造物展」がスタート。東京・長野・愛知・熊本と巡回し好評を博してきた展覧会が関西初お目見えとなります。ジブリ作品に出てくる沢山の建造物に焦点を当てて、各種制作資料、色々な建物を立体化した模型が展示されており、中でも「千と千尋の神隠し」の舞台となった湯屋・油屋の約3メートルの大きな造形物が目を惹きます。建造物展と言いつつ、それだけでなく、建造物を通してジブリ作品の世界にじっくり触れることが出来る内容が恐らく人気の理由なのでは。期間は来年2月5日(月)まで。
 また、福井県立美術館では「スタジオジブリ・レイアウト展」が12月8日(金)から来年3月11日(日)まで開催されます。このレイアウト展は現在10年目を迎えており、これまで国内だけでなく韓国やフランスなどの海外も巡回してきました。アニメーション映画の制作過程で要となる、1カット毎の設計図とも言うべきレイアウト画を約1300点展示しており、ジブリが出来る前に高畑勲監督、宮崎駿監督が手掛けた作品のレイアウトも含まれていて見応えがあります。福井県でジブリの展覧会が開催されるのは初めて。近県の方もこの機会にぜひどうぞ。
 そしてもう1つは、ソウルの世宗文化会館で12月5日(火)から始まる「スタジオジブリ大博覧会 ナウシカからマーニーまで」。これまで六本木を含む5つの会場で多くの方にご覧頂いてきた「ジブリの大博覧会」が、初めて海外で開催されます。膨大な数の資料でジブリ30年の歩みを体感出来るこの展覧会、韓国ではどんな反応があるでしょうか。来年3月2日(金)までの予定です。
 最後になりましたが、鈴木敏夫プロデューサーの書についての初めての本『人生は単なる空騒ぎ │言葉の魔法│』が近日中にKADOKAWAから発売されます。〝手書きの「書」から紐解く鈴木敏夫の「言葉」〞。また、文春ジブリ文庫では11月9日(木)に『ジブリの教科書 崖の上のポニョ』が発売されました。シリーズも巻を重ねて17冊目。どうぞ宜しく。
 
「野中くん発 ジブリだより」12月号
 
 11月7日(火)から9日(木)にかけて、スタジオジブリと三鷹の森ジブリ美術館は合同で恒例の社員旅行に行ってきました。先々月号で書いたように、今年は行き先がなかなか決まらず、やや変則的な旅程になったので行き先の表現が難しいのですが、まあ、大雑把に言うと近畿の旅ということでしょうか。
 初日はまず、皆で揃って奈良へ行きました。早朝の新幹線で京都に向かいバスに乗り換えて奈良へ。春日大社に行って皆でご祈祷を受けて、終わった後は昼食も含め自由行動。毎回言っていますが、ジブリの社員旅行は行き帰りの交通機関と宿、夕食は皆揃ってですがそれ以外は自由が基本。この日も集合時間まで、ちょうど奈良国立博物館で開催中だった「正倉院展」を観る人、東大寺に行く人など様々でした。私は平城宮跡に行き、復元された朱雀門や大極殿を見てきました。さて、再び集合しバスで大阪に移動。ホテルにチェックインし宴会場で全員で夕食、その後はラウンジを2時間借り切って二次会が行われました。翌日、翌々日は完全にフリーで、皆それぞれ好きな所へ出かけて楽しみましたが、京都へ行った人が結構いたようです。もちろん大阪を巡った人も多く、かく言う私も実は大阪をちゃんと訪れたことが無かったので、大阪初心者ということで大阪城や難波に初めて行きました。2泊目も同じ大阪のホテルでしたが、今回は珍しく2日目の夕食はフリー。何せ食い倒れの街だからそれぞれ好きな物を食べましょう、ということだったようです。最終日、やはり初めてということで私は通天閣へ。14時過ぎに新大阪駅の新幹線の中で全員再集合、揃って東京に帰ってきました。今回の参加者は約200名とそれなりの人数でしたが、10月から研修を開始した動画と美術の新人ももちろん参加し、先輩達と色んな機会に交流を深めていたようです。いつになく自由度の高い旅でしたが、いいリフレッシュになりました。
 さて、スタジオジブリは先月末に社長が代わりました。10年近く社長を務めてきた星野康二が会長になり、新社長にはジブリ美術館館長だった中島清文が就任。美術館館長は展示の責任者を務めてきた安西香月が新たに就任しました。ちょうどいいタイミングだったので、社員旅行初日の全員での夕食時に、星野、中島、安西の3人が前に出てそれぞれ挨拶し、その場の皆が気持ちを新たにしました。新体制となったスタジオと美術館をどうぞ宜しく。