文档:野中君发吉卜力新闻/2016年

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 2015年 2016年 2017年
「野中くん発 ジブリだより」1月号
 
 皆様、新年あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。
 さて、スタジオジブリの新作が昨年12月に発表されました。長編アニメーション映画「レッドタートル THE RED TURTLE」です。以前から情報は少し出ていましたが、東宝の今年のラインナップ発表の中で正式に告知されました。キャッチフレーズは「ジブリの新作がフランスからやって来る。」。そうです、この作品はフランスで制作されているのです。監督はマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット。
 もう10年ほど前ですが、ジブリがデュドク・ドゥ・ヴィット監督に〝長めの作品を作ってみませんか〞と打診したのが事の始まりです。監督は「岸辺のふたり」で第73回米アカデミー賞短編アニメーション賞を受賞しているオランダ出身の優れたアニメーション作家で、日本にも多くのファンがいます。彼は高畑勲監督を尊敬しており、ジブリともやりとりがあったのですが、それまで専ら短編を作ってきたこのデュドク・ドゥ・ヴィット監督にジブリは前記の提案をしました。彼が意欲を示したので徐々に話が進み、「レッドタートル」として形になってきたのですが、制作現場はヨーロッパだろうから、ということで、ジブリはフランスの映画会社・ワイルドバンチと共同製作することにしました。ワイルドバンチは世界中に優れた映画(例えば「アーティスト」や「英国王のスピーチ」等)を配給している会社で、製作も行っています。ジブリ作品も北米、仏、極東地域以外のほぼ全世界で配給してもらっており、長いお付き合いがあります。「レッドタートル」の実際の制作は、監督を中心に現地のプロダクションとスタッフによって進められ、いよいよこの春完成予定。昨年12月の発表では高畑監督が「アーティスティック・プロデューサー」とクレジットされていましたが、これは、企画段階からずっと、デュドク・ドゥ・ヴィット監督の依頼により高畑監督が様々なアドバイスを行ってきたからです。そういえば、準備段階でデュドク・ドゥ・ヴィット監督がジブリの近所の部屋に長期滞在し、絵コンテ執筆に専念した、ということもありました。ちょっと面白いエピソードですが、あれももう6年ほど前のことになります。
「レッドタートル THE RED TURTLE」はきっと、美しく、芸術的で感動的な作品になることでしょう。日本公開は今年9月予定。どうかご期待下さい。
 
「野中くん発 ジブリだより」2月号
 
 去る1月14日(木)、第88回米国アカデミー賞のノミネートが発表されましたが、米林宏昌監督作品「思い出のマーニー」が長編アニメーション映画部門で5本のノミネート作品の内の1本に選ばれました。大変有難いことです。
「思い出のマーニー」は日本では一昨年の2014年7月に公開されたので、少し前のことのように思えますが、北米での公開は昨年5月でしたので、今回のアカデミー賞の対象となります。「かぐや姫の物語」と同じく、配給を担当したのはGKIDS。公開規模は大きくありませんでしたが、評価は高く、新聞やネットの批評がとても良かったので期待していました。とは言うものの、長編アニメーション映画については去年、アメリカのメジャーな会社が製作した大規模公開作が他に何本もあったので、正直言って若干不安もありました。米林監督は今回のノミネートについて"「思い出のマーニー」がアカデミー賞にノミネートされましたことを大変光栄に思っています。この作品を選んでくださった方々や、関わってくれたすべてのスタッフに感謝します。たくさんの人たちに楽しんで観てもらえるような作品をこれからも作っていきたいと思っています。この度は本当にありがとうございました。"とコメントを述べましたが、私も、選んでくれた方達にこの場を借りて御礼申し上げます。
 スタジオジブリ作品としては「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」に続いて、3作品・3年連続ノミネートとなりましたが、果たして今回、3度目の正直となるかどうか。そういえばこの3年の間には、宮崎駿監督のアカデミー名誉賞受賞(2014年11月)もありました。遡れば、ジブリと米国アカデミー賞の関係は2003年の「千と千尋の神隠し」受賞から始まっています。その後「ハウルの動く城」もノミネートを受けているので、ジブリとしては「マーニー」で5回目のノミネートです。授賞式は2月28日(日)、日本時間では29日(月)の午前。米林監督と西村義明プロデューサーが渡米し授賞式に出席予定で、西村プロデューサーは「かぐや」に続き2年連続の出席となります。
 最後に三鷹の森ジブリ美術館の近況を少々。1月18日(月)、新入社員8名が初出社しました。昨夏の募集に応募し、高倍率を潜り抜け選ばれた新人達、この日はあいにくの大雪で交通機関も激しく乱れ波乱の出発となりましたが、ぜひ頑張って欲しいものです。
 
「野中くん発 ジブリだより」3月号
 
 先日、三鷹の森ジブリ美術館の今年度の開館スケジュール予定が発表されましたが、その時、ジブリ美術館初の長期休館についても正式に告知がありました。ジブリ美術館はこれまでほぼ毎年、5月と11月に2週間弱、展示替えとメンテナンスのための休館をそれぞれ実施してきました。しかし今年はいつもと違い、5月9日(月)から7月15日(金)までの2か月強、長期休館を実施し、その間に大規模な改修工事を行う予定です。
 ジブリ美術館が開館したのは2001年10月1日。「千と千尋の神隠し」公開中のことでしたが、あれから10数年が経過し、さすがに毎秋の定期メンテナンスだけではカバーしきれない、色々な修繕をする必要が出てきました。そこで、美術館スタッフは1年以上の期間を掛けて計画を立て、この度、実施の運びとなったものです。展示物もほぼすべて撤去して、空調設備の総入れ替え等、普段は出来ない大がかりな改修工事を行いますのでどうしても長期の休館をせざるを得ません。ご迷惑をおかけし申し訳ありませんが、今後もジブリ美術館を魅力ある建物として維持存続させるために必須の措置ですので、どうかご理解下さいますようお願い申し上げます。なお、好評開催中の企画展示「幽霊塔へようこそ展 ─通俗文化の王道─」は5月8日(日)まで。長期休館開始と共に終了ですので未見の方はどうぞお早目に(ジブリ美術館のチケットは日時指定の予約制。詳しくはホームページをご覧下さい)。
 さて、美術館といえば、三鷹の森ジブリ美術館ライブラリーから新たなブルーレイ&DVDソフトが3月16日(水)に発売されます。「ひつじのショーン シリーズ4(1)」と「同(2)」の2タイトル。もはや説明の必要もない大ヒットシリーズの最新作で、発売元はいつもと同様ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン。詳しくは同社のホームページをご覧下さい。
 最後になりましたが、愛・地球博記念公園で昨年開催され大好評だった「ジブリの大博覧会」が現在、新潟県立近代美術館で開催中です。会期は5月15日(日)まで。また「この男がジブリを支えた。近藤喜文展」が石巻市の石ノ森萬画館で4月10日(日)まで、「第二楽章 男鹿和雄展 ─吉永小百合と語り継ぐ─」が郡山市のビッグパレットふくしまで3月21日(月・祝)まで、それぞれ好評開催中です。どうぞよろしく。
 
「野中くん発 ジブリだより」4月号
 
 スタジオジブリが手掛ける新しいCMが去る3月15日(火)発表になりました。丸紅新電力と丸紅の企業イメージCMで、題材は鳥獣戯画。鳥獣戯画は800年ほど前に描かれた日本最古の漫画とも言われる絵巻物で、ウサギとカエルの相撲シーンなどがよく知られていますが、言うまでもなく、誰もが一度は目にしたことがある超有名な古典絵画です。以前から鈴木敏夫プロデューサーは鳥獣戯画のアニメーション化を考えており、今回、再生可能エネルギーによる発電を積極的に進めている丸紅新電力が4月からの電力自由化を機に放送する企業CMとして、制作されることになりました。30秒の作品を3本作ることになっており、第1弾「鳥獣戯画 出会い篇」は発表の日からすでに放送を開始しています。今回も「魔女の宅急便」「崖の上のポニョ」等の作画監督で知られる近藤勝也くんが構成・作画を担当しており、鳥獣戯画の雰囲気を色濃く残しながら、独自の解釈でアニメーション化。音楽は国際的に活躍しているあのピアニスト辻井伸行さんのオリジナル曲で、もちろん演奏も辻井さんです。古典の世界がアニメーションと音楽の力で現代に新たな展開を見せた本CM、この後第2弾、第3弾と続きますのでどうかご注目下さい。なお、このCM制作をきっかけとして、プランGという丸紅新電力の個人向け新メニューが誕生、4月よりスタートしています。プランGは丸紅新電力、スタジオジブリ、そして三鷹の森ジブリ美術館のタイアップ企画であり、GはジブリのGとグリーンのGの両方を表しています。そしてプランGは三鷹の森ジブリ美術館、公益財団法人トトロのふるさと基金の支援、さらにその他の森と緑の保全活動の支援をテーマとしており、電気料金の一部がそうした活動に使われます。ジブリ美術館の電気はこれを機に丸紅新電力が供給してくれることになりました。また、プランG契約者にはスタジオジブリが監修した「オリジナル一輪挿し」をプレゼント。木の風合いを生かしたいい雰囲気の品物です。詳しくは丸紅新電力のホームページをご覧下さい。
 https://denki.marubeni.co.jp/

 最後になりましたが、4月16日(土)より長野県信濃美術館で「ジブリの立体建造物展」が、4月23日(土)より愛媛県美術館で「スタジオジブリ・レイアウト展」が、4月27日(水)より阪急うめだ本店で「近藤喜文展」が、それぞれ始まります。どうぞよろしく。
 
「野中くん発 ジブリだより」5月号
 
 スタジオジブリ最新作「レッドタートル ある島の物語」(マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督)ですが、遂に完成し、5月11日(水)から5月22日(日)まで開催される第69回カンヌ国際映画祭に出品されます。ジブリ作品では初めての「ある視点」部門です。同部門は独特のスタイルやビジョンを持つとされる作品が上映され、「ある視点」賞や監督賞、審査員賞の選定もあります。果たしてこの作品がどのような評価を受けるのか、注目です。なお、日本の公開日は9月17日(土)に決まりました。ご期待下さい。
 さて、先月4月号の本誌はLINE特集でしたが、4月から「となりのトトロ」のキャラクターがLINEのスタンプになって発売されました。ジブリ作品のキャラクターをLINEのスタンプとして購入出来るのは今回が初めて。新しいメディアにはいつもとても慎重なジブリですが、先月号にあったように、日本だけで6800万人(昨年12月現在)がLINEの登録をしているそうで、そうした状況もあり、この販売を始めました。現在発売中のイラストは40点で、いずれも鈴木敏夫プロデューサーの描き下ろし。トトロたちが表情豊かに描かれていて好評です。
 鈴木プロデューサーと言えば、5月20日(金)公開の押井守監督の新作実写映画「GARMWARS ガルム・ウォーズ」(Production I.G作品)の日本語版プロデューサーも務めています。鈴木さんは2004年公開の押井監督作品「イノセンス」でも共同プロデューサーを担当しましたが、長年に亘る押井さんとの友情から今回も参加。構想15年、製作費20億円、撮影をすべて北米で行い英語で制作されたこのSFファンタジーの日本語吹替版をプロデュースしました。先日試写を観た押井監督も「期待してなかったけどすごく良かった」と感想を述べたとのこと。ぜひ劇場でご覧下さい。
 最後に三鷹の森ジブリ美術館からのお知らせを。現在、改修工事のため7月15日(金)まで長期休館中ですが、今年も7月と8月の入場チケットについては先行抽選販売を行います。7月分は5月25日(水)〜5月31日(火)に、8月分は6月25日(土)〜6月30日(木)にそれぞれ受け付け、抽選を実施。また、7月入場分から、チケット券面に購入者の氏名を印字する方式に変更されます。いずれも詳しくはジブリ美術館のホームページをご覧下さい。
 
「野中くん発 ジブリだより」6月号
 
 すでに報道されたとおり、先月開催された第69回カンヌ国際映画祭で、スタジオジブリ最新作「レッドタートル ある島の物語」(マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督)が「ある視点」部門の特別賞を受賞しました。"映画そのものが特別""映像と音のポエジー"と高く評価されての受賞です。カンヌ国際映画祭は毎年5月の開催なので、ジブリの新作はいつもまだ制作中で出品は無理でした。しかし本作は春に完成したので、ちょうどカンヌに間に合いました。賞の対象となる、オフィシャルセレクションの「ある視点」部門に初めて出品出来た新作が賞を頂けて本当に嬉しいです。日本公開は9月17日(土)。ご期待下さい。
 ジブリの新作といえば、小金井のスタジオで現在制作中の、三鷹の森ジブリ美術館オリジナル短編アニメーション「毛虫のボロ」(宮崎駿監督作品)ですが、5月9日(月)に最初のラッシュがありました。この作品はこれまでの方法を大きく変えて、CGを制作工程の中心に用いています。そのため、制作開始から初ラッシュまでいつになく時間がかかりましたが、ラッシュを経て20カットほど完成カットが上がりました。私も観ましたが、映像の質の高さがすごかったです。今後もさらに制作を続けていきます。
 さて、愛知・新潟で好評を博した「ジブリの大博覧会」が、内容を大きく更新した上で遂に東京にやってきます。7月7日(木)から9月11日(火)まで、六本木ヒルズ展望台 東京シティビューにて開催。「風の谷のナウシカ」から最新作「レッドタートル ある島の物語」まで、これまでのジブリ作品がどのように生み出され、世に出て行ったのか。会場では当時を振り返るポスターやチラシといった広告宣伝物を中心に、制作資料、企画書など未公開資料を含む膨大な数の資料が所狭しと並び、ジブリの30年間の歩みを体感出来ます。詳しくは公式サイトをご覧下さい。
http://www.roppongihills.com/tcv/jp/ghibli-expo/
 なお、スタジオジブリでは5月26日(木)よりLINEの公式アカウントを始めました。「ジブリの大博覧会」を含む、ジブリのいろんな新情報を随時お知らせしていきますので、こちらもどうぞよろしく。
 最後になりましたが、ジブリ作品を支えるベテランアニメーターの1人だった二木真希子さんが病気のため5月13日(金)に亡くなりました。58歳でした。残念と言う他ありません。ご冥福をお祈りいたします。
 
「野中くん発 ジブリだより」7月号
 
 現在、修繕のため休館中の三鷹の森ジブリ美術館ですが、7月16日(土)よりいよいよ再オープン。この日から新しい企画展示「猫バスにのって ジブリの森へ」がスタートします。
 ジブリ美術館が開館したのは2001年10月。最初の企画展示は、当時劇場公開中だった最新作を採り上げた「千と千尋の神隠し」展でした。その後、ほぼ毎年新しい企画展示をジブリ美術館は開催してきました。「千尋」展と同様に、作品を題材とした「アルプスの少女ハイジ展 〜その作り手たちの仕事〜」や「崖の上のポニョ展 │エンピツで映画をつくる│」もあれば、映画が生まれる発想の種、企画の元に焦点を当てた「天空の城ラピュタと空想科学の機械達展」や「3びきのくま展 〜映画にできないとっておきのおはなし〜」「幽霊塔へようこそ展 │通俗文化の王道│」もありました。あるいは他のアニメーションスタジオを採り上げた「ピクサー展」や「イギリスの友人を紹介します。『アードマン』展」なども。これまで14の企画展示があったのですが、今回、それらをすべて一堂に集めたのが「猫バスにのって ジブリの森へ」です。これまでの企画展示のハイライトと言ってもいいかもしれませんが、選ばれた各展示物にアレンジを加え、コラージュ風に展示室いっぱいに並べて、新たな体験をしてもらえるようにしています。本当に巨大な3びきのくまの人形や、大人も乗れるネコバスなど、復活の要望が多かった展示物も再登場。美術館の建物自体も化粧直しされるので、以前来たことがある人も、きっとまた新鮮な気持ちで美術館の空間を楽しんでいただけると思います。皆様、再開するジブリ美術館にどうぞお越し下さい。なお、三鷹の森ジブリ美術館は日時指定の予約制。詳しくはホームページをご覧下さい。
 展示と言えば、愛知、新潟で大好評だった「ジブリの大博覧会」が、東京の六本木ヒルズ展望台 東京シティビューで現在開催中です。構成が変更されてさらにパワーアップ、入場料を当初の告知より下げたので大人は1800円(税込み)でご覧いただく事が出来ます。詳しい情報は公式サイトでぜひご確認下さい。
http://www.roppongihills.com/tcv/jp/ghibli-expo/
 また、7月15日(金)より愛知県の豊田市美術館では「ジブリの立体建造物展」が、7月16日(土)より新潟県立万代島美術館では「スタジオジブリ・レイアウト展」が始まります。いずれもどうぞ宜しく。
 
「野中くん発 ジブリだより」8月号
 
 スタジオジブリ最新作「レッドタートル ある島の物語」の公開が近づいてきました。先月から予告編やチラシ配布も始まり、宣伝も本格化していますが、今月末にはマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督が来日、記者会見やインタビュー、講演等を行う予定なのでどうぞご注目下さい。公開は9月17日(土)。
 さて、この「レッドタートル〜」の展示が、好評開催中の「ジブリの大博覧会」(於:東京・六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー)内で実施中です。世界初公開となる貴重な資料をふんだんに展示。上映より一足早く、作品世界に触れることが出来ます。「ジブリの大博覧会」は他にも、この東京展が初公開となる「スタジオジブリ 空とぶ機械達展」というパートがあり、52階という会場の特性を生かし、ジブリ作品に登場した様々な飛行機のビジュアルを楽しめます。中でも「天空の城ラピュタ」のオープニングに登場した飛行建造物の巨大立体模型が大人気。この「ジブリの大博覧会」、昼もいいですが夜がさらに美しいと評判です。21時30分まで入場可能、22時閉館です。
 他にも、夏休みなので全国でジブリ関連の展覧会を実施中。まず、新潟県立万代島美術館の「スタジオジブリ・レイアウト展」。韓国・香港・フランスと海外でも開催された人気展が新潟に初お目見え、好評開催中。展示点数は過去最高で、とても充実した状態でご覧頂けます。一方、愛知県の豊田市美術館では「ジブリの立体建造物展」を開催中。今年春に内容を大きく更新して長野市で実施、記録的な動員となりましたが、豊田市でも大好評です。さらに広島県熊野町の筆の里工房では8月28日(日)まで「近藤喜文展」を開催。「耳をすませば」の監督でアニメーターの故近藤喜文さんの、本当に素晴らしい絵を多数堪能出来る展覧会です。そして8月11 日(木)より江戸東京博物館で開催の「伊藤晴雨 幽霊画展」。実はジブリは企画協力を務めており、画集の編集も担当。鈴木敏夫プロデューサーの特設コーナーもあって、この夏、隠れたジブリスポット(?)と言えるかも。いずれもどうぞ宜しく。
 最後にもう1つ、ジブリがスタジオカジノ名義で製作した庵野秀明監督の実写作品「式日」が初ブルーレイ化されました。「庵野秀明監督実写作品集1998-2004」に「ラブ&ポップ」「キューティーハニー」と同時収録。「式日」は4Kデジタル・リマスターなので高画質です。発売元はバップ。どうぞ宜しく。
 
「野中くん発 ジブリだより」9月号
 
 9月17日(土)、スタジオジブリ最新作「レッドタートル ある島の物語」(監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット)がいよいよ公開されます。
 改めて書きますと、発端は今から10年前に、マイケル監督に対し鈴木敏夫プロデューサーが、長編映画を作ってみないかと提案したことでした。マイケル監督はオランダ出身のアニメーション作家で、元々アニメーターなので絵も大変うまい人。すでにその時点で短編の監督作「岸辺のふたり」が米アカデミー賞を受賞するなど、世界的に高く評価されていました。しかし長編映画の監督は経験したことがありませんでした。
 マイケル監督はこの提案に興味を示し、ジブリが製作することを前提に企画が動き始めました。そのときにマイケル監督が出したリクエストが、高畑勲監督にアドバイスをしてもらうことでした。初めての長編映画ということで、やはり短編とは異なる点が色々あります。それゆえの希望でしたが、「岸辺のふたり」を以前から絶賛していた高畑監督はこれを快諾。こうしてマイケル監督がシナリオ執筆に着手し、さらに絵コンテ、ライカリール(絵コンテを撮影し順番につないだ映像)の制作に進みますが、その間、日本側とは密にやり取りを重ねました。ライカリール制作の大詰めでは、来日してジブリの近くに借りた部屋で約1ヶ月滞在、高畑監督や鈴木プロデューサーと直接打ち合わせをしながら作業したこともありました。
 映画の形が見えて来たのと並行して、実際の制作現場はヨーロッパになりそうだということで、ジブリは海外配給の長年のパートナーであるフランスのワイルドバンチ社に本作の製作について相談。結果、両社の合作となり、その後本格的に映像制作がフランスで始まりました。その間もマイケル監督からは、音楽を含め様々な相談があり、ジブリは海の向こうのフランスとやりとりを続けました。こうした経緯により、高畑監督はアーティスティック・プロデューサーとしてクレジットされており、鈴木プロデューサーはもちろん本作でもプロデューサーを担当しています。
 2016年春、本作は遂に完成し、5月の第69回カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門特別賞を受賞したことはこの欄でもお伝えした通りです。人と自然、そしていのち、生きること。マイケル監督にしか作れない素晴らしく美しい芸術作品であり、本作はやはりまぎれもなくジブリ作品の1本です。どうぞ宜しく。
 
「野中くん発 ジブリだより」10月号
 
 絶賛公開中のスタジオジブリ最新作「レッドタートル ある島の物語」(監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット)ですが、コピーの「どこから来たのか どこへ行くのか いのちは?」は、実は谷川俊太郎さんがこの映画のために書いて下さった詩の一節を使わせて頂いています。映画を谷川さんにご覧頂いたところ、気に入ってもらえたので、鈴木敏夫プロデューサーが谷川さんに映画に寄せる詩を依頼。快く書いて下さったのがその詩で、全文は公式サイト等に掲載されていますので是非お読み下さい。映画の本質が鋭く描出されていて、今さらながら、詩人の言葉遣いのすごさを感じます。公式サイトのURLはhttp://red-turtle.jp/ です。
 また、池澤夏樹さんも「レッドタートル」を高く評価して下さり、映画を題材にして池澤さんが構成・文を担当した絵本が岩波書店から出版されました。映画と同じ「レッドタートル ある島の物語」という書名ですが、もともと副題の「ある島の物語」は池澤さんが付けて下さったもの。絵本の方も、映画の美しい場面写真を大きく使いながら、視点を少し変えて、島から見た物語として構成されていて新鮮です。特殊な製本で絵がよく見える、おしゃれな装丁の本です。
「レッドタートル」はアーティスティックな映画であることもあって、多くの作家の方々から好評を頂いていますが、先日は又吉直樹さんからも「『レッドタートル』のような感覚の映画を僕は初めて観ました。とても面白かったです」で始まるコメントを頂きました。前述の公式サイトでは、この又吉さんのコメント全文を掲載するとともに、10月31日(月)まで〝感想キャンペーン〞を実施しています。Twitterやfacebookで「#レッドタートル」を付けてこの映画の感想を書くと、抽選でグッズをプレゼント。詳しくは公式サイトをご覧下さい。
 皆様、ジブリの最新作「レッドタートル ある島の物語」をどうぞよろしく。
 最後になりましたが、ジブリが制作した新たなキャラクター「となりのおにぎり君」がこの秋登場しました。今、伊藤園ではこの新キャラクターをフィーチャーしたキャンペーンを実施中。詳しくは伊藤園の公式サイト内にある専用ページをご覧下さい。近藤勝也くんが腕を振るった新作アニメーションもご覧頂けます。「となりのおにぎり君」で是非検索してみて下さい。
 
「野中くん発 ジブリだより」11月号
 
 すでに報道があった通り、長年ジブリで仕上部門の責任者を務めていた保田道世さんが、病気のため10月5日に亡くなりました。77歳でした。
 保田さんはほぼすべてのジブリ作品で色彩設計を担当し、キャラクター等、画面の中で背景の手前で動く部分(デジタル化以前だとセル画で描かれていた部分)の色を決めてきました。色のセンスが大変優れていたのはもちろんですが、色指定の膨大な仕事量を手早く的確にこなす効率性・合理性がすごく、また、多くのスタッフがいる仕上という部署をとりまとめ、外部の仕上スタジオとのやりとりも行うなど、仕上工程の制作管理的な役割も広く担っていました。なので社内での存在感はとても大きなものがありました。
 保田さんがアニメーションの仕事を始めたのはジブリの出来るはるか以前の1958年。発足後間もない東映動画(現・東映アニメーション)に社員一期生として入社し、以後一貫して仕上の仕事をしてきました。当初は主にCMやTVアニメでトレース(動画の線をセルに筆で描き移す作業)を担当しましたが、組合活動を通じて高畑勲さんや宮崎駿さん達と知り合い、「太陽の王子 ホルスの大冒険」(1968年・高畑勲監督)制作に参加します。以後、会社を変わりつつ様々な作品に携わりますが、70年代半ばからは色彩設計に本格的に取り組み始め、「未来少年コナン」(1978年・宮崎駿監督)「赤毛のアン」(1979年・高畑勲監督)などでの仕事を経て、「風の谷のナウシカ」(1984年・宮崎駿監督)以降ほとんどのジブリ作品の色彩設計を担当したのは前述の通りです。「崖の上のポニョ」(2008年・宮崎駿監督)終了後、一旦は現役を退いたのですが、宮崎駿監督が強く要請し「風立ちぬ」(2013年)で再登板、またも素晴らしい仕事ぶりを発揮してくれました。高畑監督が同志、宮崎監督が戦友と呼んだことからも、いかに保田さんが両監督から信頼されていたかが分かります。
 新しいことにも柔軟に対応出来る人でした。「ホーホケキョ となりの山田くん」(1999年・高畑勲監督)から、ジブリも全面的にコンピューターを使ったデジタルペイントに切り替わりましたが、必要な知識を学んで、この大転換に完全に順応していました。
 今でも、モノトーンの服に身を包んだおしゃれな保田さんが目に浮かびます。改めまして、ご冥福をお祈りいたします。本当に有難うございました。
 
「野中くん発 ジブリだより」12月号
 
 11月8日(火)から10日(木)まで、スタジオジブリと三鷹の森ジブリ美術館は社員旅行に出掛けました。行先は熊野。実は2011年の社員旅行で熊野に行くはずだったのですが、台風12号の水害のため、行き先を変更せざるを得ませんでした。昨年、一昨年とジブリでは社員旅行をしませんでしたが、今年は実施することになり、過去の経緯から熊野が行先として自然に浮上。遂に訪れることになったわけです。
 熊野までは列車で移動しましたが、集合時刻は東京駅に朝7時10分と、もしかしたらジブリ社員旅行史上もっとも早い集合時刻だったかもしれません。乗り遅れる人がいるのでは、と幹事は心配していましたが、幸い遅刻者はいませんでした。名古屋までは新幹線で1時間40分ほどですが、名古屋駅から新宮駅までは3時間半以上。それゆえの早朝出発でしたが、ともかくずっと列車に乗って、新宮到着後、すぐに熊野速玉大社と神倉神社へ向かいました。あいにく雨だったので、神倉神社の石段はかなりしんどかったですが、ほとんどの人は上まで登ったようです。夜は那智勝浦温泉の宿へ。いつも通り全員で大広間で一緒に夕食を頂き、その後は飲み部屋、カラオケ部屋、風呂、睡眠、その他とそれぞれ分かれて楽しみました。
 翌日は、自由行動の人もいましたが、予め設定されていた3つのコースのどれかに参加した人が多かったようです。私は熊野那智大社と原始林巡りのコースにしたのですが、これが想像以上に厳しいルートで、前日以上にきつかったです。まあ、日頃の運動不足が祟ったのでしょう。でも、普通は見られない景色を見ることが出来て、行った価値は十分ありました。宮崎駿監督や鈴木敏夫プロデューサーは林業の見学コースに参加。こちらはこちらでとても充実していて、皆満足だったようです。考えてみると、宮崎監督は三浦しをんさんの『神去なあなあ日常』の本の帯に文を書いていましたね。もう1つのコースは那智の滝と海中公園見学。こちらも十分に楽しめたようですが、ともかくこの日は快晴で、とても有難かったです。2日目の夜もまた全員で夕食、その後も同様でした。
 最終日は熊野本宮大社へ。その後、新宮駅で12時半過ぎの列車に乗り、後は再びひたすら鉄道の旅。18時半頃東京駅着、無事解散となりました。
 久しぶりの社員旅行でしたが、「毛虫のボロ」制作班も含め、皆、いいリフレッシュとなりました。