文档:久石讓官網日誌/2000年12月

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2000/12:DEC
2000年12月
12月1日(金)
「たけしの誰でもピカソ」の収録。リハーサルに予想以上時間がかかり押せ押せのスケジュールになってしまったが、収録は無事に終了。今回限りの「BROTHER」リアレンジヴァージョンは予想以上の出来ということで「どこかで演奏できればな~」と久石さん。収録終了後は都内を横断して「ダンサー イン ザ ダーク」の試写会へ。主演のビョークの熱演に「すごいアクターが誕生したね!」と興奮のコメントをする。
12月2日(土)
再びスタジオにてフランス映画のベーシックレコーディング。前回創った、主人公の一家がならず者に襲撃されるというシーンの曲。曲入りのタイミングをずらし、厚くなり過ぎたサウンドを削る。一度完成させた曲をさらにリアレンジする作業は意外に時間のかかるもので、この日は1曲を完成させるにとどまる。
12月4日(月)
今日から食人鬼の登場するシーンの曲付けに入る。まずは最もおぞましい殺戮のシーン。不協和音を多用した弦・管楽器のサウンドは嫌がおうでも恐怖感を煽る。「オケのメンバー、この曲弾けるかな?」と気にしつつも創作意欲は膨らみ続け、気がつけば管楽器の音域がオーバー!「やべぇ、チョットやりすぎた!」と笑いながらオーケストレーションを修正する。
12月5日(火)
引き続き食人鬼シリーズのベーシックレコーディング。一連の食人鬼シーン、実は劇中後半にまとまって登場するため、同じテーマの使いまわしが出来ないという問題を抱えている。「曲創りの立場としてはワンパターンにならないようにしなくちゃならないから、こういうのが一番創りにくいんだよね」と語る。試行錯誤しながらも順調に進んでいたプリプロだったが、途中から不調を訴える久石さん。「実は昨日から歯が痛くって・・・昨日からずっと不協和音の聴き過ぎだから歯に響くんだよな~」とニガ笑いつつも迫力のある曲を完成させる。
12月6日(水)
「昨日の歯痛はキツかったよ。あれは不協和音のせいだよ、絶対。オレ、今日からはメロディアスな曲しか創らないから」と断言する久石さん。この日は弦と木管を中心にしたスローテンポなサウンドを創りあげる。
12月7日(木)
今日はスタジオでの作業はお休み。新聞の取材と打ち合わせに忙殺される。夕方より映画「BROTHER」の完成披露試写会に参加。舞台挨拶では「北野監督作品では初めて金管楽器をメインに使った。少し下世話かなって思っていたけれど、ロサンジェルスの渇いた雰囲気がうまく出せたと思う」とコメント。
12月8日(金)
スタジオでしばしの作業後、映画「カルテット」の試写に出席。最後まで気になっていたという映像の色合いを最終チェックする。「最後の試写から時間が経っているからね、なんだか新たな気持ちで見ていたよ。自分で言うのも何かもしれないけど映像はスゴクきれいだったな!もう文句ナシの完成でしょ!!」と満面の笑顔。監督の最終OKが出たところで、最後まで残っていた映画スタッフとも今日でお別れ。一抹の淋しさを感じつつも「カルテット」完成に湧いた一日であった。
12月9日(土)
再びフランス映画のベーシックレコーディングに入る。今日はメインテーマを創り込んでいく作業。いくつかのパターンを創ってみたものの、意外に使えるシーンが少ないとのこと。「メインテーマがあっちこっちに出てきたら価値が無くなっちゃうからね、でももうチョット使いたいんだけどな~」と頭を悩ます。弦中心のオーケストレーションに管楽器やピアノをさらに付け足して、ダイナミックなサウンドが完成する。
12月11日(月)
主人公らが食人鬼に追われるシーン。弦の刻みに木管の不協和音が重なって、躍動感と恐怖感のあふれる作品になる。曲の長さは短いもののボリュームを感じさせる曲で 映像と合わせると実に迫力がある。スタッフから「これならフランス人も文句は無いでしょ!」との声が上がる。
12月12日(火)
主人公が王宮で女王と出会うシーン。ハープシコードの音源を使い、メインテーマをバロック調にアレンジ。ヨーロピアンな雰囲気を創り出すことには成功したものの「何だかいかにもフランス風だよな。う~ん、気にくわん・・・」とリュートやリコーダーの音源を当てはめてみる。試行錯誤の結果は・・・?
12月13日(水)
コンスタントに曲を創りあげてきた久石さん。1日2,3曲といったハイスピードで作曲をしてきたが、今日は1日5曲完成を目指す。「短い曲ばかりだから楽勝だぜ!」とのことだったが13秒というタイムの曲を前に作業が中断。「前奏なしのメロディ1フレーズだって15秒近くあるんだ。一体どんな曲を書けってんだい?」と頭を悩ます。
12月14日(木)
冒頭のクレジットの曲創り。最も重要な作業だが、クレジットの尺とヴィデオが未だフランスから届かない!おおよそのサイズを予想し手探りで作業を行うが、仕事にならない状態。国際電話とメールを使って矢のような催促をするものの、現地からはウンともスンとも言ってこない。明日までに情報が揃わなければプロジェクト自体が危うくなってしまうのに!!ついに久石さんをはじめスタッフ全員の怒りが頂点に達する。明け方までミーティングをするものの良い対策が浮かばず、最悪のケースを考えざるをえなくなる。現地とのコミュニケーションがスムーズにいかないのは、どうやら時差だけでなく国民性の問題のほうがはるかに大きいようだ。
12月15日(金)
ついにフランスからヴィデオが届く。正確な尺もわからない状態で創った曲を映像に合わせてみると・・・なんと!クレジットのフェードイン/アウトと曲が見事に当てはまるではないか!!しかも映像の雰囲気ともマッチしており、徹夜状態の久石さんも安堵の笑みを浮かべる。永年の経験で培われた知識と緻密な計算が生み出した結果にスタッフは驚愕と喜びで興奮状態。とりあえず最悪のケースだけは免れたのだが、引き続き先を見ていくと・・・編集が変更されており、映像と曲のタイミングが合わなくなってしまった!急遽調整を行うがいかんともし難く、結局一からの創り直しというハメになる。
12月16日(土)
フランスより監督とスタッフが来日。曲と映像を合わせながら、最終的な打ち合わせを行う。編集が変更されてしまったことにより全曲完成に至らなかった為、打ち合わせをしながら曲を創り込むという方法をとらざるを得ない。通訳を介し、時にはお互い英語で意見交換をする監督と久石さん。音楽に造詣の深い監督だけに細かい要望も出されるが、ほとんどがOKとのこと。何曲か修正を加えて、後日あらためて打ち合わせを行うこととなった。
12月17日(日)
パーカッションとケーナのレコーディング後、昨日の打ち合わせで出された問題点を修正していく。監督の意向を重視して作業を進めていくのだが、一度完成された曲に手を加えるのは新曲を創るよりも難しいもの。明日の打ち合わせを夜にずらしてもらい、ギリギリまで修正作業をすることとなる。
12月18日(月)
修正する曲と残された時間のバランスは悪く、1分1秒を競っての作業。フルオーケストラの曲なので直し始めるとキリがないのだが、「監督とのコミュニケーションはうまく取れているから迷いはないよ。音をいかに響かせるかといった技術的なことがメインだからね。」とのこと。結局打ち合わせ時間ギリギリまで作業が続いたが、曲を聴いた監督は「トレビヤン!」を連発。最終的に全曲OKを頂けたのだが・・・エンディングテーマを聴かせると「たった今アイディアが閃いたんだけど、ヴォーカルを入れるってのはどうかな?」と爆弾発言。急遽オーケストレーションの変更と再度打ち合わせを行うこととなる。
12月19日(火)
リュートのレコーディングした後、ヴォーカル入りのオーケストレーションを創り始める。監督のオススメ歌手のCDを購入しキーの確認をした上で、曲を移調しメロディラインを付ける。途中、来年行われるイベントのオーディションに出席するなどバタバタのスケジュールだったが、監督との最終打ち合わせには曲も完成。「早く生の音で聴きたい!」という嬉しい言葉を頂けて、久石さんもホッした表情を浮かべる。
12月20日(水)
ベーシックレコーディング作業が無事終了したものの、休む暇なくスコア書きに入る。全28曲という膨大な楽曲数のため、何曲かをアレンジャーに書いてもらうことにはなったが、フランスへ出発するまでに仕上がるかどうか・・・「とにかくやるしかないでしょう!」目の下に黒々としたくまを浮かべてスコアを書き始める。
12月21日(木)
スコア書き。あれほどハードなベーシックレコーディングをしてきたにもかかわらず、精力的な久石さん。シーケンスデータを片っ端からスコアに書き起こしていく。一度部屋に入ると7,8時間は飲まず食わずでこもりっきりの状態。「スコア書きってのはまさに体力勝負。書いた後にピアノ弾かなくちゃならないってわけじゃないから、いつもよりは気が楽だよ。」と言ってはいたが・・・
12月22日(金)
ボリュームのある今回のスコア書きだが、いつもよりハイペースで書き上げていく久石さん。「いつもよりタイトなはずだけどスコア書きは順調だね。もちろん体は疲れているんだけど、全体的にテンションは高いし調子もいいな」とのこと。このまま何事も起きずにいってくれれば、久石さんもお正月ぐらいは休めそう!?
12月23日(土)
異例のピアノレコーディング。ベーシックレコーディング作業がずれ込んだため、スコア書きの途中でピアノを弾くことになった久石さん。1日7,8時間もスコアを書いていると筋肉が硬くなり、ピアノを弾く手ではなくなってしまうのだが、今回はスケジュールの都合上やむを得ない。「お正月練習してパリでレコーディングしようかとも思ったけど、現地に行ってから何かあったりすると嫌だからね。日本で録っておけばとりあえずは安心できるから」とピアノに向かう。
12月25日(月)
今日からメインテーマのスコア書き。フル編成で4分以上の長さがあるため、かなりキツそうな気配。スコア書きに集中したいところだが、途中にスタッフミーティングなどが入ってしまい作業が滞ってしまう。今まで1日1曲以上のペースできたのだが、この日は完成に至らず。「今晩家に帰ってから書くよ」とスコアを持ち帰る。
12月26日(火)
自宅でもスコア書きをすると言っていた久石さんだが、さすがに疲労が激しく完成には至らなかったとのこと。何がなんでも今日中には仕上げたいところである。決して複雑な響きの曲ではないのだが、書かなくてはならない音符の絶対量が多いため、いやがおうでも時間がかかってしまう。部屋にこもること5時間、目を真っ赤に充血させて出てきた久石さんの手には、音符がビッシリ書かれた分厚いスコアが握られていた。
12月27日(水)
メインテーマが完成した事で山を越えたのか、残りの曲をテンポよく書き上げていく。途中でアレンジャーに頼んだスコアをチェックするなど、時間的にも余裕が出てきた感じ。自らの書いたスコアは随時写譜屋に流れているのだが、アレンジャーの方々は結構苦労していらっしゃる御様子。「みんなにお願いした曲は編成も大きいしサウンドも濃いからね、大変だとは思うけど。なんだったらオレが代わりに書こうか?」とおどけてみせる一幕もあった。
12月28日(木)
スコア書き最終日。アレンジャーにスコア起こしを依頼した分、スケジュール的には楽になった久石さん。今日のノルマもサラッと仕上げ、スコア書きを早々に終わらせてしまう。普段より楽とはいえ、スコア書きに使ったエネルギーは相当なもの。この何日かで頬がこけてしまい、首から肩にかけての部分はパンパンに凝ってしまっている。「いい加減誰かに任せたいんだけどな~、しゃあないな」とスタッフによる肩もみに身を任せる。
12月29日(金)
スコア書きも終わったところで、いよいよ冬休みに突入・・・かと思いきや、今日から福島未来博をはじめとする打ち合わせの連続。スタッフが事務所の大掃除をしている間、昨日まで譜面書きだった部屋はミーティングルームと化す。夕方よりワンダーシティとワンダーステーションの全スタッフが集まって、ビールを飲みながら簡単な打ち上げ。「よいお年を!」といきたいところなのだが・・・明日は久石さん、フランスレコーディングの打ち合わせとのこと。年末ギリギリまで仕事である。
12月30日(土)
アレンジャーに依頼したスコアをチェックする。シーケンスデータを渡しているとはいえ、音の配置や楽器の使用方法などはスコアを書く人によって全く異なるもの。1曲ずつ細かくチェックしていき、時には「ここはこんな風にするといいよ」などとアドヴァイスをしていく。それと同時に、アレンジャーに依頼した分のスコアを広げて自らもお勉強。「自分で書いていれば頭の中で音が鳴ってくれるんだけどね。曲は知っていてもスコアは初見。何か質問されてもすぐに答えられるようにしておかないと レコーディングに支障がでるからさ」と熱心にスコアを読む。「うわ~、よくここまで書いたな!」「なんだこりゃ!?全然音が足りないよ!!」などなど、いろんな声が聞こえたとは某スタッフの証言。
12月31日(日)
「31日に仕事なんかしているのはウチぐらいなもんだろ」とため息まじりの久石さん。今日は福島未来博の打ち合わせ。アトラクションのストーリーを脚本家らと打ち合わせする。フランスに出発する日までに修正案を出してもらい、フランスからメールでやり取りすることが決定。仕事は場所を選ばず、とはこのことか・・・打ち合わせを済ませて、ようやく久石さんも仕事収め。今日から出発までの2,3日、ゆっくり休んで頂きたいところである。